過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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貧乏螺子
◆d85emWeMgI
[saga]
2010/12/28(火) 00:17:50.27 ID:YzNGWyE0
十分が経過したのだろか。
一方通行は佐天からそらすように、自分の珈琲の表面を見つめる。
沈黙を破ったのは、佐天だった。
「わかりました」
ああ、と声にならないため息が喉を震わす。
自分でそうし向けたというのに、終わりを告げる言葉に、はっきりと打ちのめされている。
だったら、もう帰れ、そう口にするべく、顔を上げた一方通行は自分をまっすぐに見つめる佐天の表情に言葉を飲み下す。
佐天は柔らかく、微かに微笑んでいた。
「一方通行さん、やっぱり優しいですよ」
一方通行は息を呑む。
悪態を吐くことさえ、思い浮かばない。
思いも寄らない言葉に、思考が真っ白になる。
理解が出来ない。一方通行が思ったのはそれだけだった。
「そしてゴメンなさい。辛いこと、いっぱい言わせちゃって」
スカートを掴む手に力がこもるのがわかる。
更に一方通行は理解が出来ない。軽い混乱に陥っているのが自分でもわかる。
「お前…俺の話聞いてたのか?俺が何したのか、今話したよな、それで何でそうなる?ンなふざけた言葉がどうして出てくる」
優しいなんて言うな。
焦りと苛立ちに、唇を噛みしめる。
「お前は怖くねェのか?お前くらいのガキを殺したって言ってるンだぜ」
「それは怖いですよ。でもえ正直一万人を、っていう話がピンときてないのが本音です。ただ、一方通行さんが言ってることが本当のことなんだっていうのも
何となくわかるんです。だから怖いです。想像も出来ないっていうのが一番怖いです。ただ……それでも私信じていないんです」
「なに?今テメェが言ったことも忘れちまったのか。そいつはァ紛れもねェ事実だ。何だったら“ゴミ捨て場”から骨でも拾ってきてやろうか?」
真横に引き裂いたような笑みを浮かべる一方通行から視線を逸らさず、佐天は困ったような笑みを浮かべる。
「違います。私が信じないのは一方通行さんが悪党だっていうことを、です」
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