444:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/21(金) 22:04:06.82 ID:fSpuMihf0
迂闊なことを言えばまた、格好の酒の肴にされることを経験上わかっている。
しかし、何も言わずにいるわけにもいかない。一方通行は空を見上げながら深く息を吸う。
どうせ今日はらしくないことのオンパレードだ。
「気が抜けたってのが正直なところだなァ……」
そう、それが本音だ。
「それまでは散々悩ンだンだ。アイツを本当に守ってくれるのか、大切にしてやってくれンのか。
寂しい思いさせンじゃねェのか、泣かしたりしねェだろォか。そンなことばかりグルグル考えてた」
「もう今では納得が行ったの?」
さァな、と一方通行は首を傾げる。
煮え切らないかもしれないが、そうとしか言いようが無い。
「不安なら今でも腐るほどある。けど、今日アイツの姿を見てて思ったよ。
もうアイツは立派な大人だ。こっから先、俺がイチイチ気を揉ンだって仕方が無ェってな」
「へぇ……娘離れがようやくお父さんは出来たってわけね」
「そンなところだ。まったく、みっともねぇ話だがな」
「でも意外だったわ。てっきりアンタ泣くと思ってた」
「ケッ……あと五千近く送り出すバカ娘が控えてるんだ。そうそう簡単に泣いてたら干からびちまう」
「ご祝儀で凄い金額よね……レベル5で良かったわよお互い」
「かかかかか。違いねェ」
からからと笑うと、一方通行は胸ポケットから煙草を取り出す。
ジッポで火を点けると、ゆっくりと一方通行は肺に紫煙を満たしていく。
ドレスに煙草の匂いが移る等と野暮な事は言わない。
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