過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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341: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/07(金) 23:08:03.09 ID:i3GUHzEo

そうなれば、彼女たちはもう用済みだ。
生きている価値さえ失われる。
そしてきっと、利用するだけ利用された果てに処分されることになるだろう。
それこそ人形のように使い捨てられて、焼却炉に放り込まれるだけ。


……たまに、どうしてこんなことをしているんだろう、と思うことがある。
彼に、ここまでしてやる義理は無い筈だ。
彼に記憶が戻り、すべてが正しい場所に戻ってくれれば、彼女たちはそれで救われる。
楽に殺してもらうことができる。

しかし、彼女はそれを否定する。
あの頃に戻ることの方が、何よりも恐ろしかったから。
すべてが黒く塗り潰されていた、あの頃に。

だから彼女たちは、どうしても彼を見捨てることができなかった。
ここで見捨ててしまったら、死んだその先もずっとずっと後悔することになると思った。
……彼だけを地獄の底に叩き落としておいて、自分たちだけ助かろうなんて。


(それでも彼は、大丈夫だと言ってくれた。気にするなと頭を撫でてくれた)


どこをどう見たって、大丈夫なんかじゃなかったのに。
大丈夫なところなんて、一つもなかったのに。
壊れてしまう寸前だったのに。

それでも、彼はぎこちない笑顔を浮かべて。
彼女たちを救う覚悟を決めた。

(……まあ、だからこそ見捨てられなかったわけですが、とミサカは苦笑いを浮かべます)

見捨てることができないくらい大切になってしまったのは、果たして幸福なことだったのか、不幸なことだったのか。
そんな感情を抱かなければ彼女たちは間違いなく楽に死ねただろうが、
代わりに訳も分からないままに殺されるだけの、無為な命になってしまっていただろう。
だから彼女には、それが幸福なのか不幸なのか分からなかった。

(これが最後の仕事になるでしょうね、とミサカは感慨深く思います)

そして目的地に達した彼女は、既にそこで待機していた妹達と合流した。
彼女たちは御坂妹と志を同じくし、これから起こるであろう戦闘に備えて集まり、準備を進めてくれていた仲間たちだ。
御坂妹は無言のまま彼女たちとの意思疎通を終え、最後の仕事に取り掛かった。



―――――


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