過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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◆uQ8UYhhD6A
[saga]
2011/03/06(日) 23:31:10.86 ID:Vxi+OU+jo
唐突に話し掛けられて、垣根は少し驚いた。
彼女から話し掛けてくることなど、滅多にないからだ。特に最近はめっきり無口になってしまっていたので、余計に垣根は動揺してしまう。
「あなたのその怪我は、いつごろ完治しそうですか? とミサカは質問します」
「ああ、これか。研究者どもが言うには、まだもう少し掛かるだろうってよ。
もっとまともな医者に診せれば違うんだろうが、この研究所にゃそんなんいねえし俺は立場上無闇に外に出る訳にもいかないからな。
仕方ねえよ」
「……そうですか。あなたのその能力を使えばすぐにでも治せてしまいそうなものですが、とミサカは少し期待します」
多分、彼女は強い力を持っている彼ならこの状況を打破できるのではないか、という希望を抱いているのだろう。
しかし垣根は、申し訳なさそうに眉根を寄せるとゆっくりと首を振った。
……分かってはいたものの、期待を裏切られて表情を翳らせてしまった彼女を見て心が痛むのを感じる。
「悪いな。俺の能力でできる医療行為は止血くらいだ。……アイツなら違ったんだろうが」
「いえ、そういう風にご自分を卑下なさらないで下さい。無茶な要求をしてしまいました、とミサカは自らの浅薄さを反省します」
「や、事実だから構わねえよ。すまねえな」
「……そんなことはありません。それに、あなたに比べたらミサカたちにできることなど微々たることですし、とミサカは俯きます」
「お前だって、この制限の多い状況の中でよく頑張ってるさ。こうして偵察にも行ってきてくれてるしな」
「ありがとうございます。……せめて上位命令文さえ無視できるようになれば良いのですが、とミサカは無い物ねだりをします」
「その辺は木原が頑張ってくれてるから、期待して待ってろ。ただ、無理はするなよ」
「……お気遣い、感謝します。
次の任務の時間になりましたので、ミサカはこれでお暇させて頂きますね、とミサカは自らの任務状況を報告します」
「ん、そうか。気を付けてな」
「はい。それではまた後ほど、とミサカは別れの挨拶をします」
それだけ言うと、妹達は速やかに医務室から出て行ってしまう。
垣根はそっと閉じられていく扉を見つめながら、のろのろと身体を倒してぼすんとベッドに寝転がった。
神経質なまでに綺麗に清掃された天井が、視界いっぱいに広がる。
「どうして、こうも上手く行かねえんだろうな。……畜生」
彼の他には誰もいない医務室に、その声だけが虚しく響く。
……そんな彼の声を聞く者は、誰も居なかった。
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