過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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641: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/03/17(木) 23:58:38.48 ID:DkvGYgrTo

「すぐに出来るから、テレビでも見てて待っててくれ」

「ハイハイ。ったく……」

結局上条に丸め込まれてしまった一方通行は、上条宅で寛ぎながら夕飯ができるのを待っていた。
手持ちご無沙汰な一方通行は部屋の中をきょろきょろと見回し、上条宅を観察する。

以前来た時はこうしてゆっくり見る余裕もなかったので気付かなかったが、部屋は男子高校生の自室にしてはかなり片付いている方だった。
ベッドはきちんと整えられているし、本も床に散乱することなく綺麗に本棚に収納されている。
しかし潔癖と言うほどでもなく、部屋には適度な生活感も感じられた。
何となく、温かい雰囲気。きっと上条の実家もこういう雰囲気の場所なのだろうな、と思った。

(親のことなンざ覚えてねェけどな。……居るかどォかも怪しいが)

記憶喪失の一方通行には、当然肉親の記憶もない。しかし自らの境遇を考えると、肉親など居ないのではないか、という気もする。
あんな実験動物扱いされているのだから、きっと自分は置き去り(チャイルドエラー)なのだろう。
けれど、不思議と悲しい気持ちになったりはしなかった。
記憶喪失になる前の自分はそれが当然だったからか、それとも。

(……くっだらねェ)

自嘲しながら、一方通行は視線を下ろす。
すると、ベッドの脇にリモコンが落ちているのが目に付いた。

先程の上条の言葉を思い出した一方通行は、何となくそれを手に取ってテレビを付けてみる。
映った番組は、ニュースだった。
先日のテロ事件について報道している。

いや、正確にはテロではなく一方通行を追い回していた連中の残した爪痕がテロと勘違いされているだけだ。
見覚えのある路地裏が、銃弾や爆発、衝撃波に晒されて破壊されていた。
そこには一方通行の覚えのない破壊痕もあったが、ほぼ間違いなく彼を巡って付けられたものだろうと彼は推測する。
幸いその事件による犠牲者はゼロだったらしいが、物的被害は甚大だった。

「出来たぞー。……って、何見てるんだよ」

「ニュース」

「ふーん……」

テーブルの上に食器や料理を並べていきながら、上条もテレビに目をやった。
そしてすぐに、それが何のニュースか気が付いたようだ。

「…………、あのさ。こういうの、あんまり気にしなくていいと思うぞ? お前が悪いわけじゃないんだし」

「………………」

「悪いのは全面的にアイツらなんだ。お前には一切非は無いんだからさ」



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