225:投げんな匙 ◆t4xyS9bQ1M[saga]
2011/01/26(水) 10:45:48.94 ID:kFxmX+Fj0
布束が以前妹達量産計画が凍結して一度研究チームから外れた際、布束と妹達の一人は施設の屋上から街の風景を見た。
その時に妹達の一人が発した言葉。その一言が布束の心を揺さぶった。
「あの時から私は彼女達を作り物とは思えなくなったわ」
「あなたは彼女(クローン)達の事をどう思ってるの?」
布束は美琴に問いかける。
彼女は体育座りをしたまま黙っていたが、やがて顔を上げる。
「私は…クローンを人間としてなんてみれない…」
「でも…人のDNAマップをくだらない実験に使っている奴らを見過ごすことは出来ないわ」
「私が撒いた種だもの。自分の手で片をつけるわ」
美琴はそう言うと重い腰を上げる。
目の下に出来たくまと、この狂った学園都市の闇に対する負の感情が彼女を起き上がらせる。
「研究関連施設は20をくだらないわよ?一人でやるつもり?」
「私を誰だと思ってるの?」
美琴は後ろから聞こえる布束の声に振り向き、答える。
「常盤台のレベル5、最強のエレクトロマスターよ」
美琴はそう言うとふらふらした足取りでその場を後にした。
一方通行に勝てない事は昨夜の戦いであっけなく証明されてしまった。
ならば研究に関連している施設を吹き飛ばすしかない。
施設を吹き飛ばしてこれ以上の犠牲者が出なければそれで良い。
美琴は街の雑踏に消えていった。
その後姿は彼女を知る人が見たならば、まるで他人に見えるだろう。
幽鬼の乗り移ったような彼女のうつろな表情はどこか妖艶な、しかし、妖刀の様な雰囲気をはらんでいた。
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