過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:20:41.76 ID:IClwZiHj0
気付いた時、既にいーさんは隣から消えていた。唐突にこんな事を言っても理解が難しいとは思うが実際そうだったのだからそうとしか言いようが無い。ついさっきまで今後どうするかを話していた……はずなのに。で、ありながら。
二分前か、三分前か。五分前か十分前か。まるで神隠しにでもあったみたいに忽然と。
辺りを見回してみても一本道の裏路地である。ここを二人で並んで歩いていたはずなんだ。さっきまで。
おいおい、レベルの高い迷子能力だななどと、皮肉を少しばかり響く声で口走ってみても音沙汰無し。
……これはもしかして、敵の攻撃ってヤツか?
どうやったのかは知らんし見当も付かんが、しかし離れ離れにして各個撃破は戦術の基本……だな。なるほど、さっきの式岸なんとかといい哀川さんといい実戦要員だけかと思っちゃいたが、そんなん以外にも十三銃士ってヤツは居るらしい。
しっかし、となるとどーすっかな。頼みの綱であるはずの戯言遣いもどっかに行っちまったし、今夜は大人しく家に帰るべきか?

「寒いしな……下手の考え休むに似たりって言うし、そうだな。帰って寝ちまおう、もう」

呟いて路地を進む。一本道の突き当たりを右に折れた。
そこに居たのは女性。真っ白な、雪のようなウェディングドレスを着たすっげえ美人。……ウェデイングドレス?

「オデットと申します」

「……はあ」

自己紹介をされても生返事を返すしか出来ない俺。だが、理解していた。今夜、この状況下、このイレギュラーな服装。
どう考えても敵でしかない。……勘弁してくれ。

「十三銃士、第十二席。オデットと申します」

「いや、名前はさっき聞きました」

その女の人の眼はずっと、俺を見ていなかった。いや、眼は俺の方を向いているんだ、しっかりと。けれど視線は合わない。
彼女は俺のずっと後方、そこに何かが、誰かが居るようなそんなうつろな眼をしていた。けれど、そこに有るのは壁ばかり。

「貴方ならば切り刻んでも構わないと聞きました。狐のお面をした人から聞きました。オデットと申します。貴方ならば切り刻んでも構わないと聞きましたオデットと申します切り刻ませて頂きます切り刻ませて下さいませんか切り刻みますと申します」

……うわ、この人、マジモンの電波さんだよ……。
その余りのアレっぷりにじりじりと後退を余儀なくされる俺。いや、誰だってそうだろ? そうなっちまうだろ? だってもう、目付きが泥酔した親父様並に怪しいんだぜ? 加えてウェデイングドレスだぞ? 無理だって! 流石にこれは相手出来ないって!

「……どうしてそんな眼でオデットを見るのですか、イリア姉さま?」

俺はイリア姉さまではありませんっ!!

「姉さまが提案した遊びではありませんか。キラキラ光るものを体中に埋め込んだらきっと綺麗に、もっと綺麗になれるでしょうって。だから、今度はオデットが姉さまを綺麗にしてあげる番」

その考え方は余りに猟奇じみ過ぎちゃいませんか! ねえ、聞いてる!?

「たくさん、たくさん、たくさんたくさん、たくさんたくさんたくさん、綺麗になって欲しいのです。オデットの愛する姉さまにはいつも、誰よりも一等綺麗でいて頂きたいのです」

言いながら、ウェディングドレスの裾から取り出したのは……ああ、やっぱり刃物ですよね、そう来ますよねえっ!?
ゴテゴテと柄に宝石で装飾が施された西洋風の剣。RPGとかでよく出て来るアレがレイピアってヤツか? うわあい、こんな所でその本物が拝めるたあ、ツいてる……訳が無えよなあ!!

「ちょっと待て! そんなモン体に差し込んだら出血多量で死んじまうぞ!」

「そんな事はありませんわ、姉さま。オデットはあの時たくさん、たくさん、たくさんたくさん、たくさんたくさんたくさん姉さまに綺麗にして頂きましたけれどこうしてちゃんと生きていますもの。冗談がお上手ですわね、イリア姉さま」

口元に手を当てて上品に笑う。その様は良家のご息女様がしなければ決して絵にはならないが、つまりこのオデットさんとやらは良家のご息女様なんだろう。だが、それがどうした。
窓辺でまどろんでいてこその美貌が、その左手に物騒なモンぶら提げてちゃこりゃもうホラー映画以外の何モンでもないっつーの!


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