過去ログ - キョン「戯言だけどな」
1- 20
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:46:32.69 ID:IClwZiHj0
よく考えれば。あんな小さな弾を撃ち込まれただけで血があそこまで噴き出すだろうか。冬に、コートを別にしても三枚は着ている服を抜けてコートの外にまで血が滴るものだろうか。
そして、なぜ古泉はずっと右肩を左手で押さえていたのか。俺はそれをずっと出血を抑えていたのだと勘違いしていたが。それが。
血糊を肩口で押し潰しているだけだったとしたら、どうだ?

「え!?」

「まったく、夜で助かりましたよ。流血に不自由しない貴女ですから、日中の明りの下でしたら本物の血液ではない事に気付かれてしまっていたでしょう」

どこからが演技なのかは俺には分からない。痛がっていたのが演技なのか、撃たれたのすら演技なのか。いや、古泉はさっきそういやこう言ってやがったっけ。
「全部、演技でした」ってな。
だとしたら……なんて役者だ。なんて道化だよ、あの超能力者は! ハルヒの前での嘘吐きっぷりすらその才能の片鱗でしかないんじゃないだろうかと俺は勘繰っちまうぜ?
ああ、そうだ。それこそが古泉一樹がハルヒの隣に居る人間として選ばれた理由なんだろう。誰が付けた呼称か知らねえが、上手い事言いやがるモンだと俺は感心しちまうじゃねえか。
「優しい嘘」。
ああ、すっかりしっかり騙されちまって逆に清々しい気すらしてくるっつーの。

「そん……な」

「コートを着ている時点で怪しんで下さいよ。これだから最近のプレーヤは困ります。大戦争の頃ならば防弾装備なんて必要最低限だったというのに」

ドサリ、美女の上半身が力を失って古泉に凭れかかる。その腹部には少年の左手が突き刺さっていた。よく分からんが格闘漫画なんかでよく見る当身ってヤツだろうか。

「戦場でファッションを楽しむのは、僕に言わせればプロとは言えません」

古泉は赤神オデットの体を地面にゆっくり横たえると、こちらを振り向いて俺に笑いかけた。

「まあ、僕はどこにでも居るちょっと神に選ばれただけの男子高校生ですけどね?」

お前、ここまでやっといてその言い草はちょいと嘘吐きが過ぎるんじゃねえの?


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
641Res/518.59 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice