37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 21:08:00.03 ID:IClwZiHj0
オレンジ髪の挑発的な太い眉がへの字に歪む。
「……何が言いたいんだよ、いーちゃん」
「友達のピンチには友達がやってくるものなのさ、そうだろ、想影真心?」
応える声は、遥か上空から聞こえた。
「げらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげら!」
その笑い声は、彼方上空から響いた。
「げらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげら!」
着地する。今度は砂煙は上がらない。本当に、本当の「なんでもできる」とはこういうものなのだと俺は知る。
どれだけの高さから落ちても、地球の重力をすらなかった事にして自身も地面も無傷で降り立つ。それは最早非常識なんて言葉すら使うのが安っぽ過ぎて躊躇われる、異次元の生き物の在り方。
「誰の求めも無視して友達の危機に馳せ参じるのは、類友なのかな、これは」
「戯言だぜ、いーちゃん。げらげら!」
夜の中にあっても輝くような橙色の髪を注連縄の様にぶっとい三つ編みにしたツインテール。ソイツは馴れ馴れしく戯言遣いを後ろから抱きすくめて、そして言った。
「喧嘩しにきたぞ――友達(ディアフレンド)」
鏡映しの想影真心。二人目の人類最終の登場だった。って、これどうなってんの!? やっぱ分身!?
「悪いね、真心。仕事の依頼が有ったんだろ?」
目前の想影真心を見ながらいーさんは自分を抱きしめている想影真心に向かって言う。いや、だからこれどうなっちゃってる訳!? 双子!? ねえ、双子なの!? それともやっぱり今回も俺ばっかりが事情も分からず捨て置かれる感じでファイナルアンサー!?
「べっつにー。最近、小唄のヤツも俺様からのお願いを無視しまくってくれてたし、一回ぐらいこっちから無視してもいいんじゃね?」
想影真心はその髪と同色のオレンジをした瞳に想影真心を映しながらそう応え……ああ、もう説明したってごっちゃになってめんどくせえ! こっから想影真心(先)と想影真心(後)ってそう言う事にする! します!
「ふうん、今回真心に協力を要請したのは小唄さんか。そう言えば小唄さんにももう一年くらい会ってないな。でもさ、一体ぼくがこんな事に巻き込まれてる、世界が危機に陥っているってタイミングで小唄さんは何を真心に頼もうとしたんだろうね」
「そんなん俺様が知る訳ねーし。けど、そっちの俺様ならなんか知ってそうだな」
想影真心(後)といーさんの掛け合いは淀み無く。まるで事前に打ち合わせでも有ったみたいにするすると続く。
「そう思わねえ、いーちゃん?」
「ああ、同感だよ真心。にしてもライダーVS偽ライダーなんて古典中の古典じゃないか。誰がマッチメイクしたかは知らないけど、ソイツはよっぽど王道が好きなんだろうね」
ライダーVSライダーなら分かるが、偽ライダーってなんだ? そんなん仮面ライダーに居ただろうか。……分からん。
「いやいや、どっちが偽ライダーだよ、いーちゃん」
「そりゃ、負けた方に決まってるだろ、真心」
「違いねえな。げらげらげらげらげら! って訳で俺様のそっくりさん。どうもいーちゃんは忙しいらしいからピンチヒッターって事でおめーの相手は俺様だ。人類最終ばーさす人類最終。げらげら! これって戯言じゃね!? 生きてるのもそうつまんねー訳じゃねえな!」
そう言って想影真心(後)は、いーさんから手を離す。
「いーちゃんの友達はこれだから辞められねえ」
その笑顔は俺を敵と認めた時の人類最強にそっくりだった。
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