11: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:22:22.06 ID:ltIw3edqo
早歩きで高校へ着き、自主練をしていたソフト部に頼み込んで、予備のグローブとボールを貸してもらった頃には、二人は汗で襟元を湿らせていた。
憂は相変わらずにこにこと笑った。
「よーし、じゃあ行くよ。胸元の高さに、こう、しゅっ、だね」
大げさに動作の確認をして見せて、憂は大きく腕を広げ、膝を曲げて体を沈めさせ、腰を回して球を放った。
乾いた音を立てて、ボールは純のグローブに収まった。
純は、わあ、と短く声を上げた。
「上手いね、やっぱ流石は憂だね」
グラウンドはやけに暑かった。
運動部の空気特有の熱気が残っているようで、純は少し気が引き締まるように感じた。
だから、子供っぽく飛び跳ねる憂を見て、純は顔をしかめた。
「えへへ、ソフト部入ればよかったかもね」
憂は大きく手を振って、純にボールを催促した。
純は手元のボールを見つめて、球を放った。
力の無い球はひょろひょろと放物線を描いて憂の元へ届いた。
「純ちゃん、真面目にやってよね」
憂が頬を膨らませた。
一直線にボールが純のもとへ戻ってくる。
あれ、と純は首をかしげた。
それでも、もう一度ボールを投げた。
えへい、と妙な声が出た。
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