23: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:38:58.49 ID:ltIw3edqo
「そうですね……うん、そうですね」
和はグローブを外した。
蒸れた空気は外気に侵食され、あっという間に彼女の汗は乾いてしまった。
けれど……けれど、体温が下がりきるまでには、まだもう少し時間があるから。
さわ子は和の、そして自分自身のための言葉を探した。
明日も明後日も、きっと楽しいよ、なんてことを、もっと優しい確信に満ちた響きで伝えられるような言葉だ。
「……あ、」
答えは見つからず、憂も泣きそうな声を出して、グローブを外した。
そのとき、純は、大丈夫、きっともう少し素直に甘えられるようになるよ、なんてことを憂に伝えようとは、これっぽちも思っていなかった。
ただ、あの面白い漫画を思い出して言ったのだ。
「そうだ、合宿がしたいんだった!」
しばらく沈黙が流れて、哄笑がそれを粉々に砕いた。
冷え始めた重たい空気を、力強く揺らして、そこに熱を生むような笑い声は、哀愁を帯びた夕陽には中々溶け込まなかった。
「なにさ」
純が口を尖らせた。
彼女の笑顔もいつもより少しだけ暖かかったように、憂には思えた。
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