過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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935: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/10(木) 21:39:24.59 ID:URvLCU7D0

「一方通行はキリンで良かったよな?」
「おォ」

琥珀色の液体をグラスに注いでやると、浜面は飲みかけの缶を手に、軽く掲げる。
一方通行は浜面に注がれたグラスを軽く缶に当ててやる。無言でビールを飲む音がリビングに広がる。
冷たいビールが喉を滑り落ちていく感触に朝から何も食べていなかったことをようやく一方通行は思い出す。
空っぽの胃には、ビールの冷たさが突き刺さるようで、それがまた心地良い。
焼きそばを小皿に取り分ける。


「青海苔使うか?」
「刻み海苔があるンならそっちくれ。あと紅しょうが」
「ほらよ」

浜面は大口を開けてピラフを搔きこむ。
お世辞にも上品な食べ方とは言えないが、美味いと感じているのは伝わってくる。
一口一口食べて、感想を述べてくれる美琴や想とは違って、色気もそっけもない食べ方だが、如何にも美味そうに食べてもらえるのは作った方としても気分が良い。


「……こういう料理は美味ェなお前」


焼きそばを啜ると、若干羨ましそうに呟く。


「ビールがポイントだな。味が何ていうか香ばしくなる」
「確かに。ガキが喜びそうだな」
「お前も想ちゃんに作ってやればいいのに」

一方通行が作るのであれば、ソースにも食材にも麺にさえも、自分より遥かに拘った美味いものが作れそうだ。

「こォいうのはあんまり上手くねェンだよ。どっちかっていうと目分量で作れる奴のが美味いモンが作れンだ。俺とかアイツはダメだな。きっちり分量がわかってねェと失敗するクチだ」

ぐびりとビールを飲みながら、瞳を細める。
空いてしまった缶を握りつぶしながら、そうかもしれないと浜面は納得する。
塩一つまみとか、醤油少々とか書かれると本気で考え込みそうだこの男は。根が生真面目だからだろうか。




「カレーもそォだな。こっちは分量キッチリ量って、時間にも正確に作ったってのによ、思いつきでハチミツやらミルクなんざぶち込ンだ奴の方が美味かったりするンだよ。
 野菜の切り方は雑だ、溶け残りもあるは、その癖妙に味付けだけはハマッたモン作るンだよな」
「それって誰の事言ってるんだ?」

素朴な疑問をクチにするが、一方通行は「さァな」と言って取り合わない。


(そォいや、アイツ等ちゃンと飯食って来るのか?)


今の時間帯だと、バスに学園都市行きのバスに乗った時間だろう。
スナック菓子と惣菜パンで済ませてはいないだろうな、という不安にも似た思いが胸に沸く。





                         ◇







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