19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/01/31(月) 22:01:39.39 ID:aoryfah40
騎士「俺は本当に不老不死になったのか?」
騎士「夢や幻……ではないか……」
騎士「確かに心臓を貫かれた痛みも覚えている……」
騎士「……しかし、傷は塞がっている」
騎士「これが、不死か」
騎士「では、不老は……?」
騎士は自室に備え付けられている鏡を覗き見た。
普段とそう変わりない顔が、ただ映っているのみだ。
騎士「……不死、不老はともかく、不死の力があることだけは間違いないのかもしれない」
騎士「くそっ……なんてことだ……」
騎士「これじゃまるで……」
市民達から飛び出た一声が頭に過ぎる。
『化け物』……ああ、違いないだろう。こんなの、ただの化け物だ。
騎士「……死ねないのか? 俺は」
騎士「いや。試してみる方法はあるな」
騎士は部屋の壁に飾られている短剣を手に取り、首に宛がった。
思い切り引けば、勢いよく血が噴き出るだろう。そして部屋を真紅に染める、はずだ。
騎士「……」シュッ
プシャアアアアアアアアと、呆気ないほど簡単に血が噴き出た。
急激に血が減っていく感覚に一瞬目眩を覚えるが、
メイド「ご主人様、お召し物を……きゃああああっ!?」
騎士「メイド……。おい、よく見てろ……化け物が見れるぜ、きっと」
言うが早いか、ぱっくりと裂けた首の傷跡が徐々に塞がっていく。
肉が、桃色の軟らかな肉が蠢くのを見て、メイドは息を呑んだ。当然の反応だ。
やがて傷は完全に塞がり、血独特の錆び付いた匂いばかりが部屋に充満した。
当の騎士は、血色良くぴんぴんとしている。
騎士「……不死だ。化け物になったんだな、俺は」
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