過去ログ - ヴェント「私の背中はアンタに預ける」
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[sage]
2011/02/11(金) 08:07:54.11 ID:+oy27w/DO
雪の世界。ロシアとエリザリーナ独立国同盟の国境から少しだけ離れた場所。
そこで迎え来る死を待っていた時。東洋人である“あの男”が突然やって来たのだ。
――うるせえっつってんだろうがよ!!
事前に自分が述べた全てを、引き裂くように男は否定した。
―――だったら……アンタを待ってる人はどうするんだよ。
この言葉を皮切りに、自分が僅かに止まってしまったのを今でも覚えている。
―――アンタの後ろには多くの人達がついてきてる。そういう人達はどうするんだよ!!
まるで説教をするような口頭。
上条当麻を彷彿させる男は、自身には存在しない強さを持ち合わせていた。
―――アンタが掲げる『戦う理由』ってのは、アンタを待つ人達の泣き顔を見て笑みを作るようなくだらねえモンなのかよ!!
走馬灯が駆け巡り、諦めの境地に達していた心境が覆す。まともに動かない身体を叱咤して奮え立たせ、アックアは生き延びる道を選ぶ。
壮年の過ぎない傭兵でしかなくなった彼だが、何か大切なモノを掴む決意をした瞬間だった。
「尤も戦闘に関して、逝去も敗北のつもりも皆無である。我が戦場に立つならば蹴散らすのみ、それだけだ」
捨て科白を吐き、ヴェントの応答も聞かないまま彼はその場を去る。
例え何か応えたとして、アックアは足を止めず、取り合わないだろう。彼はそういう男だ。
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