125: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/03/03(木) 22:28:09.38 ID:Qa7CywZDo
ポケットから携帯を取り出そうとする美琴に、上条は複雑そうな顔で視線を逸らす。
「ほほう? 私と連絡先を交換するのがそんなに嫌だっていうの?」
「……嫌ってわけじゃねぇんだけどさ」
煮え切らない上条の態度に、美琴はワザとらしく肩をすくめる。
もう一年くらいの付き合いにあなるが、絶妙な距離感をとる上条に、美琴は嘆息するしかなかった。
別に惚れているわけでも、一緒に居たいわけでもない。
お世辞にも誉められた態度でない自分を受け入れてくれるだけでも感謝はしているが。
会ったら少し話をする程度。
たわいもない軽口をたたき合う程度の関係。
その関係に不満を覚えた事はない。
だが。
偶にする他人を煙に巻くような態度が、美琴は好きではなかった。
なにか隠し事をされているような。
仲間外れにされているような。
そんな感覚に襲われると気がある。
出会いが欲しいとか言っているくせに、妙に人と距離をとる。
(昔なんかあったとか?)
そんな妄想の域を出ない想像が、美琴の脳裏に浮かんでは消えていく。
「ほら、携帯出しなさい。こんな可愛い女の子と連絡先を交換できるなんてイベント、そうはないわよ?」
「自分で言うなよ……」
しぶしぶ、と言った表情で上条はポケットから携帯を取り出す。
妙に傷が多いのはご愛嬌だろうか。
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