過去ログ - 一方通行「お前……上条か?」
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189: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/23(土) 20:36:07.30 ID:plOY2Btfo

「『反射』も間違っちゃいねェ。俺の能力の一部であるこたァ確かだが、それだけじゃQEDには程遠いなァ」

 一方通行は足元にあった小石を幾つか拾うと、それをジャラジャラと手で弄ぶ。
 ニヤリ、とその口元が歪んだ。

「っ!?」

 ミサカ9982号は一方通行に背を向けると全力で走る。
 なぜそのようにしたのかは彼女自身でも分からない。
 感じた悪寒が何によるものなのかも、そもそもその寒気が一体何なのかすらも分からなかった。
 『妹達』には感情はインストールされていない。
 それ故に恐怖を感じる事も無い筈だった。

「正解は『ベクトル操作』。小せェ石で、こンなことも出来ンだぜ?」

 一方通行は弄んでいた小石をおもむろにミサカ9982号へと投げつける。
 ダーツで矢を投げるような、軽い調子で投げられたはずのそれは、異常な速度でミサカ9982号の背に直撃する。

「がっ……」

 まるで車にはねられたような勢いで、ミサカ9982号の身体が飛ぶ。
 全てが異常だった。
 彼女には何が起こっているのか理解できなかった。
 この世に存在する物理法則ではありえない現象。
 それが彼の、学園都市の第一位が持つ『自分だけの現実』とでもいうのだろうか。
 地面を滑ったミサカ9982号の膝からは赤い血が流れている。

「全てのベクトル……運動量も、熱量も、テメェらお得意の電気量も、俺が触れさえすりゃァ、なンでも意のままってな」

 ジャリッ! と、一方通行の足音がミサカ9982号へと迫る。
 一歩ずつ迫る『死』から逃れるように、彼女は足を動かしていく。
 それは走るというには程遠い、フラフラとしたものだった。



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