190: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/23(土) 20:36:53.61 ID:plOY2Btfo
「クカカッ……なンだァ」
その背中を見据えながら、一方通行は歩いていく。
走れば追いつける。能力を使えばそれこそ一瞬で済む。
だが、彼女の背中が、姿が、態度が、一方通行に何かを留まらせていた。
「まるで人間みてェじゃねェかよ……クローンの分際でよ」
舌打ちを一つ。
苦虫を噛み潰したような顔をしながらも、一方通行は足を止めない。
「ま、だからと言って、やることが変わるワケじゃねェ……」
人通りのない広めの道路の上をよろよろと走る彼女の背中を一瞥した後、一方通行は脇に置いてあった鉢植えを足で小突く。
まるで見えない何かに押し上げられたように、鉢植えがぽんっと宙を舞った。
「だから、さっさと楽になれ……」
一方通行の手で叩かれた鉢植えはミサカ9982号の脇腹を捉える。
「あっ……がぁ」
ゴロゴロとミサカ9982号の身体がアスファルトの上を転がる。
彼女の脇腹を捉えた鉢植えは無残にも砕け散り、黒い土を撒いていた。
「ン?」
その黒い土の上、ぐしゃぐしゃになった草花の横に落ちているのは缶バッチ。
表面のカエルの左腕の上に、大きく傷が入っている。
「なンだ、こりゃァ?」
「あ……」
一方通行の白い指が、青い缶バッチに伸びる。
彼は物珍しいものを見るような目で、手に取ったそれを眺めていた。
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