191: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/23(土) 20:37:26.57 ID:plOY2Btfo
「この珍妙なセンスは……テメェらの趣味か?」
「か……返して下さい」
「あァ?」
ミサカ9982号は頼りなさげに立ちあがると、一歩、右足を一方通行へと進めた。
歩くというには余りにも頼りないその足で、彼女は一方通行に向いていた。
先程までは、『獰猛なハンターから命からがら逃げる草食動物』のように逃げに徹していたというのに。
明らかに、『自分の命が失われることに恐怖を抱いていた』というのに。
「それはミサカの物ですので………返して下さい」
もう一歩、左足を前へ出す。
ミサカ9982号の目には明確な意思が宿っていた。
そのバッチを返せ、とそれだけを物語っていた。
クラスのガキ大将に必死の思いで反抗する、いじめられっ子のように。
「なンだなンだ、なンですかァ? 大量生産のクローンの分際で、死ぬ時は大切なものと一緒に、とか言っちゃうクチですかァ?」
一方通行が右手に少しだけ力を加える。
「それともあれか? おンなじ大量生産のオモチャに共感しちゃった、とかいう詩人にでもなったつもりかよ?」
ペキッ―――と、高い音がする。
「う、ぁあぁぁぁああああああああああ!」
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