233: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/14(土) 16:55:36.20 ID:8FqggmgBo
「げほっ、ごほっ……」
まともに腹に入った妹の身体に息を乱しつつ、美琴は彼女の背中を支える。
その左腕からは決して少なくない血が流れ出している。
ゾッ、とする、見ているだけでも気を失ってしまいそうな量だった。
背骨に電流でも流されたような気分だった。
「アンタッ……なんであんなトコに飛び出してくんのよ!」
美琴の言葉に、苦悶の表情をしていたミサカ9982号の顔が少しだけ緩む。
肩で息をした、痛みを我慢した上での、無理矢理な表情だったが。
「自殺志願者でもあんな状況で飛び出してはこないわよ」
「さっきも言いましたが……お姉様とは約束しましたので」
「約束のバッチは守れてんでしょ? 無理して出てくることなんか……」
「お姉様とは、もう一度『美味しいものを食べに行く約束』をしています、とミサカは何が出るか期待しつつ答えます」
「そんな……死んでたかもしれないのよ? そうなったら何も意味ないじゃない!」
「あのままではお姉様が死んでいました、とミサカは客観的な事実を突きつけます」
美琴の目が見開かれ、その身体が震える。
カタカタ、と弱々しく小刻みに震えるその姿は、迷子になった子供のようだった。
「私なんて守る価値もないわよ。アンタ達を生み出して、苦しませるきっかけを作ったのは私なのよ」
絞り出す声と共に嗚咽が漏れる。
ぽろぽろと涙を流しながら、こぼすそれは懺悔にも聞こえた。
349Res/214.49 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。