234: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/14(土) 16:56:05.16 ID:8FqggmgBo
「一万人近くも見殺しにした私に……そんな価値なんてないわよ」
「いいえ。そんなことありません、とミサカはお姉様の言葉を否定します」
苦痛で遠のきそうな意識を必死に支え、ミサカ9982号は美琴の目を真っすぐに見る。
「ミサカ達はお姉様を恨んではいません。確かに生まれてきたのはお姉様がDNAマップを提供したからですが……もしそれがなければ、ミサカ達は生まれてくることも、こうして痛みを感じる事も、お姉様に会う事も、美味しいものを食べる事も出来ませんでした」
ミサカ9982号は柔らかく微笑む。泣きじゃくる美琴を諭すようにして。
「そしてなにより、『生きる』と言う事を実感することもできませんでした。だから、感謝こそすれ、恨むなんて事はありえませんよ、とミサカは内心を吐露します」
「で、でも……」
「でももへちまもありません。ミサカ達にとっての幸せは、お姉様が元気に生きてくれることですから」
そういって、ミサカ9982号は立ちあがる。
気の抜けてしまった美琴と、一方通行の間に立つようにして。
「話は終わったのかよ?」
「待っててくれたのですか、とミサカは一方通行の表情を探ります」
「レベル5と戦闘すると、実験に影響が出るって言ったのはテメェらだろォが……」
美琴は真っ青な顔で、ミサカ9982号の背中を見る。
左腕のないその細い体に、必死に腕を伸ばす。
生み出した超電磁砲も、砂鉄の剣も、雷撃の槍も、全て通じなかった、その右腕で
(待って……)
するり、と。
スカートの裾が指に触れる。
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