235: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/14(土) 16:56:52.29 ID:8FqggmgBo
(待ってよ……)
必死に伸ばしても、届かない。
もう彼女の身体は、数メートル前へと進んでいる。
届かなかった。
遅かった。
あと少し早く気づいていれば、この実験も止めることが出来ただろうか。
もうあと少しだけ自分が大人であれば、こんなことにもならなかったのだろうか。
「さて、今日も終わりにすっか」
一方通行はポキポキと首を回す。
よろよろと向かってくるミサカ9982号を見据え、つまらなさそうな顔でそれを見ている。
幸運なんて、その辺に転がっている物ではない。
救いなんて、そう簡単に得られるものではない。
「助けて……」
それでも。
それでも、美琴はそう言うしかなかった。
漏れてしまったその言葉が届くなんて事はあり得ない。
待っているだけで救世主が現れるのは漫画やゲームの世界だけの事だ。
そんな事は分かっている。
「助けてよ……」
誰でもいい、どんなことでもいい。
ただ、藁にもすがる思いだった。
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