302: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/28(土) 05:13:11.22 ID:NFLpaoqXo
当時の一方通行にとっては不思議でならなかった。
その能力によって、見た目にも変化が出だした一方通行に臆することなく差しのべられたその手に。
どうして一緒にいてくれるのか、と聞いた事もあった。
『俺も独りにされてるからさ……放っておけなくて………』
彼は少しだけ恥ずかしそうに、頭を掻いていた。
彼なりに打算があったのかもしれない。
自分と同じ、惨めにも独りにされていた仲間、として認識したのかもしれない。
だが。
その差し出された手が、どれだけ一方通行を救ったか。
そして、その力なく笑った顔が、どれだけ眩しく映ったか。
彼との交友関係はそこから始まる。
気づいたら一緒にいて、気づいたら唯一の友人だった。
最初で最後の、友人だった。
「らしくねェな」
一方通行は自嘲する。
過去にすがっても得られる物などない。
自分の能力にしか興味のない研究者達との契約に従って、能力開発と言う名の監獄に入ることを決めたとき、一緒に誓ったのではなかったか。
過去には縋らないと。
過去は捨ててしまおうと。
「ったく……めンどくせェ」
もう一度溜息をつく。
やれやれと肩を落とした時だった。
不意に現れたスーツの男がこちらを見ているのに気付く。
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