49: ◆XtjOmDyc46[saga sage]
2011/02/19(土) 20:06:47.35 ID:qw7dATgRo
「え……あー、っと」
次いで、先程の女性を見る。
おにぎりコーナーで紅鮭を手に取り、『こういうのじゃないよなぁ……』とか呟いているあたり、鮭弁にかなりのこだわりがあったのだろうか。
ふぅ、と息を吐き、意を決したように上条は彼女の方へと向かう。
「あ、あの……」
「うん?」
振り返った彼女は控えめに見ても美人だった。
「これ、よかったらどうぞ……」
「あん? いいの?」
上条は持っていた鮭弁を半ば無理やりに彼女に押し付ける。
キョトンとした表情をしていた彼女だったが、やがてゆっくりとその口角を上げていく。
「ありがとね」
「いっ、いえ! お気になさらずっ」
ビシッ、と居住まいを正し、上条は直立する。
何事かと言われれば、ドキっとしました、としか答えようがないのだが、それくらいには破壊力のある笑顔だった。
顔が真っ赤になってるんじゃないかと慌て、上条はそのままくるりと身体を回転させると、逃げるようにしてコンビニを飛び出していく。
「なんなんだ、アイツ?」
鮭弁を持ったお姉さんがレジ前の店員へと目を向ける。
何も知らない彼は愛想笑いを浮かべるしか出来なかった。
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