過去ログ - 一方通行「お前……上条か?」
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52: ◆XtjOmDyc46[saga sage]
2011/02/19(土) 20:08:34.39 ID:qw7dATgRo

「お嬢様、ねぇ……」

 彼女は心底面白くなさそうに肩をすくめる。

「いちいち面倒よね、その『お嬢様』ってのも……」

 その一般的には羨ましがられるであろう肩書きも、彼女にとっては邪魔なのだろうか。
 彼女は見飽きたものを見るような目で、上条を見据える。

「お嬢様だからこうやって出歩いちゃいけないわけ?」

「いや、そうじゃなくてだな……」

 やや論点のずれている少女に頭を掻きつつ、上条は答える。

「女子中学生が一人で夜歩き、ってトコが問題なんだが」

 その言葉に、少女は驚いたように目を見開く。
 何を言ってるのか分からない、とでもいうのだろうか。目をぱちくりとさせている。

「心配してくれるのは嬉しいけど、余計なお世話よ」

「お、おい!?」

 上条の言葉をどこまで聞いていたのかは分からないが、少女はその場で踵を返すと夜の学園都市へと歩を進める。
 そんな人の話を聞かない彼女の後姿に、上条はぎょっとした顔で呼び掛ける。
 心配性すぎる上条にとっては、このまま彼女を放っておいて万が一の事態でもあればと思うと、安心して眠る事も出来ない。

「お前が『後ろにいる人間の様子も分かる』ってのは分かったが、さすがに大人数に囲まれたら対処しきれねぇだろ?」

 ぴくり、と少女の肩が跳ねる。
 思いとどまってくれたか、と上条が胸を撫でおろそうとした時だった。
 ゆっくりと、振り返った彼女の前髪がバチッと音を立てる。

(あ、れ―――?)

 何かがおかしい。
 静電気にしては大きかったその音は、明らかに彼女から放たれた。
 そして、一瞬ではあるが、彼女の前髪あたりでスタンガンのような青白い閃光が起こった。
 何かがおかしい。
 では、何がおかしいのか―――。



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