過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/02/23(水) 05:28:20.11 ID:PpVfCaewo
 八月八日 夜 第一七学区 三沢塾

「真面目に答える気あんのかよ、おい!」

「ふむ。君が所属不明の危険人物として、我々の監視対象であることは確かなのだが、その君
がどうしてここに? そもそもここは何処なのだ? 何やら見覚えのある結界構造だが……」
「だーー、こりゃアレか? 『打ちどころが悪かった』ってヤツか?」
「失礼な男だな君は。僕はどこも打ってないし、全くの正常だ。ここはどこだ?」
 事情が判らない男と、事情を『忘れた』男の押し問答は、どこまでも平行線を辿る。
「ダメだコイツ、まるで話になりゃしねえ。……ぶん殴ってやりゃあ元に戻るのか?」

 まあとりあえず試してみるか、と、拳を固めた、その時。通路の向こうから見覚えのある顔
が走って来る。
「よう、久しぶり!」
「あれっ、カズマ? どうしてここに? あ、ステイル、テメェこの野郎、よくも囮に使いや
がったな! ボコボコにされた仕返しか? いのけんてぃうすさんの敵討ちだってかゴルァ?」
「何だい、そんなに怒った顔して?」
「ニヤけてんじゃねえ!」

 ボグォ。ギブスを装着した上条当麻の右ストレートが、ステイル=マグヌスの顔面に炸裂し
た。魔術師の身体は、竹とんぼのように回転し、壁に激突する。

「俺もいま、同じことを考えてたぜ」
「ははっ、やっぱり気が合うな。それで、どうしてここへ?」
「前の時と同じだな。『何故かここには近寄らない方がいい』って感覚に逆らったら、このビ
ルに辿り着いたって訳よ」
「どんだけトラブル好きなんだよ!」
「これが『強くなる方法』だからな」
「それが『早く死ぬ方法』じゃないことを祈るよ」
 分断した意識と、失われた記憶をつなぎ合わせたステイルが、そこに割り込む。
「いきなり何をする、上条当麻! ……確かに、記憶をなくして少々困ってはいたが、何も殴
ることはないじゃないかっ。それにあの時『二手に別れた』のは、それが最善の戦術だったか
らに過ぎないし、決してボコられた挙げ句に見せ場を横取りされた恨みを果たそうとなどとい
う、卑俗な根性など僕は持ち合わせて――」
「うるさい」
「うるせえ」
「くっ、まあそれはいいとして、君の方の状況はどうなっているんだ?(ちっ、大体何でコイ
ツ死んでないんだよ。まさに完璧な状況だったってのに……)」
 上条とカズマはすでに走り出していた。ステイルは慌ててあとを追う。
「おいっ、そっちじゃない。渡り廊下から北棟へ――」


 アウレオルス=イザードは、ただ一人の少女を助けるために魔道書を書き始め、諦める事な
く書き続け、そうして、何故魔道書を書き続けるのか気づいてしまった。単に『魔道書を提供
する』という名目の元、ただ一人の少女に会いたかっただけなのだ。

 こうして錬金術師は人の道を外れた。


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