過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/02/23(水) 05:58:07.80 ID:PpVfCaewo
 校長室は広大な空間だった。悪趣味な、広大な空間だった。天井から戻って来たカズマが、
アウレオルスに宣告する。
「ダチの嫁を返してもらうぜ、おっさん」
「お前は……その格好は何だ。一三騎士団の者には見えんが」
「あ? 通りすがりのチンピラだよ。いいからとっとと返せ。俺のあとに来る奴はこんなに優
しくねえぞ?」
「……待て。その前に、『嫁』とはどういう意味だ」
「言葉通りだよ。悪の手から姫を救った勇者がめでたしめでたしってやつだ」
 カズマの中ではインデックスは上条の嫁、と、決まっている。何故ならこの男もそうだから
だ。あと二年。あと二年を喧嘩に明け暮れて堪えることにしたこの男が、敵を求めて海を渡っ
たのは、それ故の必然なのだ。
「馬鹿な……『救った』だと……。ありえん!」
「噛みつくのはそこかよ」
「私以外の何者にも、彼女を救うことはできないはずだ!」
「できちまったんだからしょうがねえだろ? できちまったもんはよお」
「信じられん!」
「いいか? よく聞けよ。『あの二人は一緒に暮らしてる』、『その部屋にはベッドが一つし
かない』、『会ったその日に全裸』。どうだ、聞こえたか?」

 決定的だった。

 アウレオルス=イザードは、己の支えの全てを破壊された。特に最後のは致命傷だった。
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
 ……コイツはもう、終わったな。カズマは確信した。

 アウレオルスの気狂いじみた笑いが、眠らされていたインデックスの目を、覚ます。薄く開
いた目が、ただ一人の男を求め、探す。
「……かずま? とうまはどこ?」
「よう、久しぶりだな。あいつはすぐに迎えに来るぜ」
「ひさしぶりー。ねえ、何で金色なの?」
「こいつが俺の最終形態なんだよ。どうだい、イカすだろ?」
「えー、何かゴキ――」
「――それ以上何か言ったらお前の晩飯は俺が喰う」
「うん! 格好いいね! さすがかずま!」
「まあな。帰りにケーキ買ってやる」
「やったー! ケーキ! ケーキ! ケーキ!」

「黙れ貴様ら! 黙れ!」
 炸裂する怒号。皮肉にもこの激怒が、アウレオルスをわずかながらも正気の側へ引き寄せた。
「倒れ伏せ、侵入者!」
 その瞬間、カズマの身体が床にめり込む。
「……くっ!」
 シェルブリットの力をもってしても抗いがたい、圧倒的な重力がカズマにのしかかる。
「うははははは! 決して楽には死なせてやらんぞ。私の分まで苦しみ抜くがいい!」
 アウレオルスは懐から取り出した鍼を、己の首にずぶずぶと差し込み、悶えるように笑い震
える。さあ、次の攻撃を食らえ。

「待て!」

 その場面、まさに完璧なタイミングで、上条が飛び込んで来た。
「インデックスを返せ! 姫神を解放しろ!」
 上条の声を聞き、姫神秋沙が驚愕する。アウレオルスには驚く余裕もない。最前までの歪ん
だ笑顔を、憤怒が塗り潰していく。
「ききき、貴様! 貴様! 貴様だけは許さんぞ! 万死に値する!」
 そしてアウレオルスは怒りに任せ、一手を誤る。
「――死ね」


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