過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/03/19(土) 22:52:10.74 ID:+1PF7tUNo
「……あの時から私は、彼女たちを造り物とは思えなくなった」
「それで、あなたはここにいる。でも、何のために?」
 そう美琴に訊かれた、目つきのすこぶる悪い少女が、ポケットから一枚のデータスティック
を取り出して見せる。よくあるUSBメモリよりかなり大きめなことから、その中に納められ
た情報が膨大なものだと判る。
「これには私がいままでに収集してきた、人間の感情データが入ってる」
「感情データ? これをあの子たちに?」
「そう。これはプログラムに過ぎないから、真の感情の萌芽には到らないとは思う。それでも、
たとえ擬似的な反応でも、この子たちの運命は変わるかも知れない」
 美琴は制御室のガラス窓から、一つだけ蓋の閉まっているカプセルを睨む。問答無用でここ
を破壊しようとした彼女が手を止めたのは、その中に『妹』の姿を見たからだ。
「運命を、ね。――そのプログラムに危険はないの?」
「『学習装置』の監修をしたのは私。プログラム自体に危険はないと誓えるわ」
「信じるわ」
 即答する。この女――布束砥信には覚悟の色がある。
「ありがとう。では、始めるわよ」
「ええ」
 専用のスロットにデータスティックを刺し、布束は『学習装置』に実行の命令を与える。
 しばらくして、モニタ上にインストール完了のダイアログが現れる。同時に『ミサカネット
ワーク』への接続が始まったとの表示を見て、美琴が訊いた。
「この『ミサカネットワーク』って、もしかして」
「『妹達』の脳波リンクが作る精神ネットワークのことよ。いま、そのネットワークを介して
『感情プログラム』を共有して――」
 その時、耳障りなビープ音と共に接続の中止を伝えるダイアログが、続いて音と表示が警告
を発する。

『一九〇九〇号の接続にエラー発生 「警告」 上位個体二〇〇〇一号のものでないコード』

「何だこれは!?」
「セキュリティ? いえ、それよりもこの『二〇〇〇一号』って何よ! あの子たちは二万人
しかいないはずでしょう?」
「判らない。いつの間にこんな……」
 布束がコンソールから『ミサカネットワーク』への接続を手動でリトライするが、これも拒
絶される。
 やがて警告は止まり、二人の間に重苦しい沈黙が――

 ――破られた。五〇メートルを減速なしに着地した、カズマの所為だ。女を一人、俵担ぎに
して、空気を読まずに。
「よお! どうした?」
「ぐはッ! ……ここはどこよ!?」

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