31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/05(土) 00:05:37.18 ID:BOkZXy320
「…流石だよ、少年。」
思った通り哀川さんの口調が――豹変した。
ぼくたちが知る、『七愚人』の園山赤音に「成り代わる」。
壁の落書きに上書きをするように。
この場合は『哀川潤』の方が落書きだ。
そういえば、ぼくと春日さんの共通の知り合いって貴重だよな。
「いっきー。お姉さんわけわかんない。」
春日さんが分からないのも無理はない。
だってぼくは、これに一杯食わされたからこそ判別できたんだ。
事前知識もあった。
「彼女」が『哀川潤』を乗っ取るという、宣言。
挑戦状のようなものを叩きつけられていたのだから。
哀川潤の仕草で
哀川潤の口調で
哀川潤の振る舞いで
哀川潤という存在に取って代わろうとする、「誰でもない彼女」
「春日井春日さんだね。ご高名はかねがね。わかりやすく言えば、私は何者かにそっくりになって、
その人物という席からオリジナルを追い出して自分がその席に座ることを生きがいとしているんだ。」
春日さんは何とも味のある表情をする。
これは嫌悪感を隠そうともしない人間に特有の表情だ。
生理的嫌悪を感じるとすぐに逃走に移る彼女の癖。
ここでもそれが喚起されたらしい。
パラシュートを探し始めた春日さんを押さえながら、ぼくは話を聞き続ける。
293Res/201.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。