10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/06(日) 00:37:58.04 ID:r9n19+zk0
暗い思考のまま歩を進めて、気が付いたら待ち合わせの場所に着いていた。
公園に植えられている樹木はあの夏の頃に比べ生気が無く枯れており、まるで今の自分の心を映しているかのようだ。
辺りを見回すと待ち人はベンチに腰掛けてなにやら飲み物を飲んでいる。
「おっす。いきなりなんだよ?」
努めて明るい声を出し用件を尋ねた。
「うん。ごめんねいきなりで」
そう言って美琴は上条に缶コーヒーを差し出してきた。受け取るとソレはややぬるい。
待たせてしまったのは気が乗らなかったとはいえ急がないで歩いてきたせいだ。
「いや、こっちもだいぶ遅れちまったし。ごめんな」
負い目を感じてこちらも謝る。
そこでまた電話している時にも生じた違和感を覚えた。
「(なんか変だな?)」
「どうしたの?」
怪訝な顔をしていた上条に美琴は疑問に思ったのか、心配するように窺ってくる。
「なんでもねーよ。それで?」
「夕飯作ってあげようと思って。材料はもう買ってあるから」
ベンチに置いてあったモノを掲げて見せる。
ビニール袋に捺されているロゴはいつも自分が通っているスーパーのものだった。
「えーと……どういうことでせうか?」
「いろいろと助けられたし、そのお礼」
「別に礼なんて……」
「それにほら、アンタと落ち着いて話す機会ってあんまり無いじゃない?」
それは誰のせいだよオイ、と言いたくなるが我慢する。
せっかくの好意を無駄にはしたくはない、それに―――――
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