49:別人 ◆Q7pSHpMk.k[saga]
2011/03/23(水) 02:20:36.75 ID:TqL+JquH0
――「これから一両日中に、重症の患者を連れてくる」
――「だからベッドを空けて、準備万端整えておかねーとヤバイかもなぁ」
今から3週間ほど前、木原はこんな予告をしている。
だが医者にとっては幸いなことに、それは現実にならなかった。
その代わりに持ち込まれた患者が『管理個体』。
聖人であり、かつ『聖痕』を常時開放するための特別な処置を受けている彼女は定期的なメディカルチェックが欠かせない。
彼女の身に何か起きれば、クローン部隊の統制も難しくなるのだから。
だが今のところ、彼女はいたって健康だった。
「じゃあ、詳しい検査を始めるね?」
「はい、ヘぶんきゃんせらー。よろしくお願いします」
生真面目に頭を下げた『管理個体』は、医者の浮かべた微かな悲しみの表情に気づかない。
「では、私は待合室で待たせていただきます」
「分かった。……けど、後で君も僕の診察を受けるんだ。肩をかばっているね?」
医者の言葉に、寮監が苦笑いをしつつ白旗を上げる。
「お見通しでしたか。ですが大したことでは……」
「それは医者である僕が決める事だよ。君も僕の患者の1人なんだからね?」
「分かりました。あの子共々お世話になります」
寮監はそう言って、この部屋を後にした。
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