過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/09(水) 03:54:16.48 ID:SvKeaTpjo
「……やっぱり、私も現地に行けないかな? 何か手伝えることがあるかも」

少女の懇願に近い言葉に、しかしステイルはかぶりを振る。

「残念だけど、君については『自動書記』の調整を優先する、との最大主教の決定だ」

イギリス清教の人間にとって、最大主教ローラ=スチュアートの決定は神の言葉に次いで重い。
万が一逆らって破門でもされれば、あっという間に背信者として追われることにもなりかねないのだ。
10万3000冊の魔導書をそのうちに抱えるインデックスにとって、その庇護を失うことは死に直結する。

「……そっか」

「それに、あの男は君に『必ず戻る』と告げたのだろう?
 あの男は君との約束を違えるような奴じゃない。
 ならば、君はここで待つべきじゃないかな。もし入れ違いにでもなったら、大変だからね」

とはいえ、状況的に上条当麻が生存している可能性は限りなく0に近い。
これはあくまでインデックスの希望を傷つけないための美辞麗句。
それでも、少女は柔らかくほほ笑んでくれた。

「……うん」

「なら、少しでも休んでおくべきだね。
 もし彼が帰ってきたとき、君が体を壊して伏せていたらきっと心配するだろうから」

「……そうだね」

インデックスがゆっくりと紅茶に手を伸ばすのを見て、ステイルは微笑む。
盆に載っていたサンドイッチがきれいに彼女の腹に収まったのを見届けて、彼はゆっくりと立ち上がり、少女に背を向けた。

「では、僕はこれで失礼するよ」

「………………………………………………………………………………………………ありがとね、すている」

小さいけれども確かにつぶやかれた言葉に、魔術師は驚いて振り返った。
そこにあったのは、再び祈りに没頭し始めた一人の少女の姿。


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