過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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528:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/05/04(水) 02:51:22.40 ID:bFibk2Mzo

びたん、と華奢な体が何かにぶつかった。
回廊と回廊を隔てる亀裂のほぼ中央に、不可視の壁のようなものが存在するのだ。
その壁に、心理掌握は貼りついていた。

どうしたものか、と彼女は思案する。
亀裂自体ではなく、この障壁が記憶障害の要。
これを突破することができれば記憶の治療ができるだろう。

だが、彼女の力を持ってしてもこの壁を越えることは難しいようだ。
この精神世界のことであれば、彼女はおおよそ把握できる。

しかし、どれほど周囲を探っても、迂回路は見当たらない。
銀河のように広大な空間を、この壁はどこまでも二つに分断しているようだ。
つまりこれは彼女の能力が及ばない、物質世界に存在する障壁。

潮時か、心理掌握はそう考える。
脳の構造的な原因による記憶障害であれば、彼女にできることは限られてくる。
この壁を取り払うのは心理掌握ではなく、医者の領分のようだ。

長く他者の精神の中に"潜って"いるのは、両者にとって強い負担となる。
元いた回廊へと戻るために、壁を蹴ろうとした時。

ふと下方へと泳いだ視線、そのはるか先に。

星空のように見える光とは全く異なる、二つの赤い光が見えた。



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