過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/09(水) 03:50:15.80 ID:SvKeaTpjo
インデックスは半壊した大聖堂の中で聞いた。
きっかけは、赤髪の魔術師が呻くように歯噛みしている場面に出くわしたこと。

ステイル=マグヌスは悩んだ。
悩んで、悩んで、悩んで、悩んで、悩んで、そして正直に話すことを選んだ。
少女にとっては何よりも残酷な真実を。

「嘘だよ!」

少女、インデックスは大きく目を見開き、そして涙をこぼしながらステイルに詰め寄った。

「嘘だ嘘だ嘘だ! そんなこと絶対に信じないんだよ!
 だって、とうまは、とうまは絶対に帰ってくるって言ったんだよ!
 だから、そんなことは絶対にあり得ない!
 ……そうだよ、そうやって私を騙そうって言う魂胆なんだね。
 見え見えなんだよ、絶対に信じないんだから!」

そうであって欲しい、と半ば自分の言葉にすがるようなインデックスの様子に、ステイルは何も答えられなかった。
仮にそれが本当ならば、すぐに彼は「冗談だ」と口にしただろう。
しかし。

ベツレヘムの星が北極海に沈没したことは事実。
上条当麻がベツレヘムの星を方向転換させたことは事実。
大天使『神の力』を消滅させることのできる人間がたった一人ということは事実。
そして。

上条当麻の脱出がいまだ確認できないということも、またまぎれもない事実。
『幻想』など混じる余地のない、厳然たる『現実』。

だから、ステイルにはただ無言で首を横に振ることしかできなかった。
それを見てインデックスは一瞬だけこらえ、そして崩れ落ちてしまう。
修道服が濡れることも人目があることも気にせずに、ただただ泣き続けた。

「とうま、とうまぁ…………」

大聖堂に響く少女の嘆きを、魔術師はただ聞いていることしかできなかった。


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