過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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878:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/06/12(日) 01:36:27.43 ID:Sj9M+n8No

「いやあ、刻一刻と冷めて行ってるし、話に加われないから別にいいかなぁと」

「この方がいただいているのでミサカもご相伴にあずかることにしました」

「……あんたたちねぇ」

ため息をつく美琴。首をかしげる上条と19090号。
一気に雰囲気が緩む。
それは先ほどまでの陰惨な物語とは打って変わった、平穏な光景。
美琴が命を賭けてでも守りたいと思う風景。

「……殿方さんがお姉様や妹様たちの命の恩人であることは分かりましたが、それでどうしてここにいらっしゃいますの?」

そもそも彼はなんで入院しているのだろう。
入院していること自体はかつて美琴から聞いていたが、もう一月近くにならないか。

「うーん、怪我のほうはもうほとんど完治なんだけどなぁ。もうすぐ退院だし。
 だけど、頭のほうがまだなぁ」

「頭? ああ、お馬鹿をこじらせてついに医者に診てもらわなければならなくなりましたのね」

「……そいつ、大怪我した時に脳に影響が出て、記憶喪失になっちゃったのよ」

茶化していた白井は、美琴の言葉に顔色を変える。
記憶喪失というのなら、先ほどのいざこざの際の上条の妙な反応も理解できる。
美琴や19090号のことは知ってはいても、白井の事を知らないかのような素振りは、白井の事を『覚えていない』からだったのか。

そして、思い出したことはもう一つ。
しばらく前に美琴が熱中していた調べ物。
あれは大脳生理学や記憶に関するものばかりではなかっただろうか。

それはきっと、上条の為。
どんなことをしてでも、彼の記憶を治してあげたいから。
その為の努力はいとわないから。

そのことを訊ねようとした矢先、美琴の手に口をふさがれる。

「……あんたが今言おうとしたこと、ここで言ったら髪の毛をアフロにしてやるから」

白井はこくこくと首を縦に振るほかなかった。



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