過去ログ - 紬「タックマン?」
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124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/24(木) 05:55:58.12 ID:R5eHM0g7o
律「ムギ……!」

いつのまにか、そこはN女子大の部室ではなくなっていた。
音楽室。
桜が丘高校、けいおん部の部室だ。

立っているのは、紬と律、二人だけだった。

紬「この幸せは、虚像よ。あなたの作り出した、儚い幻」

律「う、嘘だ。こんなにリアルで……こんなに身近で……変異種とか、変な能力とかもない。あんな悪夢とは違う。これが正しい現実なんだ!」

紬「律っちゃん……あの世界が、そんなに嫌いだった?」

律「そうだ、私は……もう、嫌だったんだ……ずっと、辛かった。みんないなくなって私の前から消えて……」

紬「……」

律「恨んでいないフリをしてた。苦しくないフリをしてた。ただ、部長としての責任からみんなに顔を合わせづらいって……でも違う。本当の私は、もっと臆病で、澪よりも、よっぽど怖がってたんだ……」

紬「律っちゃん、誰よりも本当は女の子らしいもの」

律「澪とあった時、何かが変わると思った。けど、違ったんだ。何も帰ってこない。過去は帰ってこないあの幸せは、消えてしまったままなんだって……それを認めるのが、大人になることなんだって」

紬「そう。そして律っちゃんは大人になったわ」

律「違うよ、ムギ……私は、大人になんてなりたくなかった。だから今、こうして世界を変えたんだ。この現実を勝ち取った。ムギ、見ろよ、この世界は完璧だ」

律は指をぱちんと鳴らすと、N女子大学の部室の映像が何もない空間に映し出された。
そこでは澪、唯、梓――そして、律が笑っている。

律「ムギ、あとはお前だけだ。ムギがいれば、この世界は本物になる。永遠になる。そうだよ、失った未来がここにある。取り戻せるんだ。この力で……やり直せるんだよ、ムギのご両親のことも……無かったことにできる」

紬「……」

紬は黙って首を振った。

律「どうして……どうしてだよ……ムギだって、苦しんだはずだ、怖かったはずだ。全部、全部なしにして、皆と幸せになれるのに。なんで……」

紬「私にとって苦しかった日々でも、みんなにとっては、頑張って生きた日々だから」

律「……!」

紬「この世界にあふれるたくさんの幸せを、律っちゃんは消してしまうの?」

そうだ。
何もかも元に戻して、無かったことにして。
そうすれば、放課後ティータイムは続くかも知れない。
だが、そうやって消えた過去は? 現在は? 未来は? どこへいく?



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