153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/04/13(水) 04:25:48.33 ID:HulktAtno
日本 桜が丘
――お嬢様、送電施設が何者かに占拠されました。
タックマン(やはり、この街に新たな脅威が迫っている……)
タックマンはT-ポッドで電灯を失い、完全な漆黒に染まった夜の街を疾走している。
目的地は桜が丘の送電網の大元となっている送電施設だ。大規模停電の原因はそこにある。
タックマン「道が……」
しかし、突然の停電は交通の混乱を引き起こし、道路は導きを失った車であふれかえっていた。
タックマン「装甲閉鎖。T-ウイング展開。ロケットブースター」
音声認識によって、T-ポッドの白い装甲は流線型に閉じ、両サイドに戦闘機のような翼が展開される。
そのままブースターによってT-ポッドは車の溜まり場に突っ込む。
タックマン「上昇!」
T-ポッドは衝突の直前に機首を上げ、飛び立った。
タックマン(長くはもたない。目的地に早く着陸しないと)
ロケットブースターを維持するだけのエネルギーを供給することはさすがにこのT-ポッドでも無理だ。
タックマンは機首を送電施設に向け、ロケットブースターを噴射した。
上空からの突撃。普通なら――普通でなくとも自殺行為である。
タックマン「――くっ!!」
多大な衝撃と共にT-ポッドは送電施設の壁を突き破り、内部で胴体を擦りながら速度を落としていく。
正規の着陸では遅いという判断だが、予想以上の衝撃にタックマンの身体もばらばらに引き裂かれそうだった。
やがて完全に速度を失ったT-ポッドからタックマンは這い出る。
???「動かないでください」
タックマン「――!?」
気付いたときには、すでに背後から頭に銃を突きつけられていた。
???「久しぶりだと言っておきます」
タックマン「何者だ」
???「おや、忘れてしまったんですか? 大切な『仲間』なのに」
タックマン「まさか、その声……」
???「そうです。エージェントEですよ。タックマン――いえ、エージェントT」
エージェントE。紬が以前、特殊部隊『ナイトストーカー』に所属していた時期の、同僚。
眼鏡をかけ、細長いからだに長身が特徴的なこの男は、潜入工作を得意としていた。
エージェントE「まったく、美しいあなたが組織を抜け、幸せにでもなるのかと思えばこんなくだらないごっこ遊びを。私はがっかりですよ、エージェントT」
タックマン「貴様、ここで何をしている」
エージェントE「何って、あなたがよくご存知でしょう? 私はナイトストーカー。得意なのは潜入工作。これはその結果ですよ」
タックマン「送電を停止して何をするつもりだ」
エージェントE「今までと同じです。平和を守るお仕事ですよ。あなたならご理解いただけるかと」
タックマン「街一つ停電させてすることなど、ロクでもないことだろう」
エージェントE「まさか。むしろこれだけの規模であたらねばならない任務。それは即ち、この国の――いえ、この世界の命運を握るとも考えられませんか?」
タックマン「世界の?」
エージェントE「そうです。今回の任務はナイトストーカーの主要メンバー全てが動員されています。これでこの件の重大さを理解できるでしょう?」
タックマン「まさか、エージェントZが、この街に……?」
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