206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/08/23(火) 21:11:09.70 ID:vrmooJWNo
さわ子「世界を左右する存在といえるクラス5。それなのに世界から逃げるなんて、できないものね」
さわ子は胸ポケットからボールペンを一本取り出す。
さわ子「私とゲームをしましょう。憂ちゃん。私が勝ったら『デュアルライナー計画』について、あなたたち姉妹の素性について教えてもらうわ」
憂「私が勝てば、どうなるんです」
さわ子「何でも言うことを聞くわ……さらに」
さわ子は持っていたボールペンを指で弾き、空中に放つ。ボールペンは不規則な回転で球を描きながら、空中に浮遊している。
さわ子「ハンデ戦よ。闘うのは私自身じゃない」
回転するボールペンの中心に黒い球体が現れ、それはやがて周囲の光を吸収していく。
さわ子「デビルズ・サンクチュアリ発動。現れなさい、悪戯好きな赤子悪魔『サタニックニューボーン』」
そして球体の中から、真っ黒な生物がぬるりと顔を出した。随分と小さい。人間の赤ん坊とそう変わらない。
『サタニックニューボーン』と呼ばれたその生物は四本足で着地し、真っ黒な身体に唯一光る赤い両目で憂を見た。
純粋な目。何も感情がこめられていない冷徹な瞳。
さわ子「この子に一発でも有効打を与えられたら憂ちゃんの勝ち。この子にあなたが『降参』すれば私の勝ち。シンプルでいいでしょう?」
憂「……わかりました」
憂は目の前の赤子をにらみつける。クラス5の能力『デビルズ・サンクチュアリ』によって生み出されたこれは、「人造生物(ホムンクルス)」か「召喚獣」の類だろう。
あのボールペンの回転によって周囲の分子を吸収して作り上げたか、もしくは何らかの「門」を開き別の場所から転移させたか。
原理は理解できなかったが、完全には理解する必要が無い。
倒せば問題ないのだから。
憂「……っ!」
憂は一瞬で赤子の前に移動し、踵を振り下ろす。
憂(手ごたえがある……これは!)
感じた確かな手ごたえ。しかし、憂が破壊していたのは砂。赤子のような形状に固められた砂の塊だった。
憂「!?」
さわ子「ハズレ」
赤子はさわ子の脚の後ろに立っていた。この一瞬で移動したのか。
憂「空間転移……」
さわ子「そんなたいそうなものじゃないわ。先に教えておいてあげる。この『サタニックニューボーン』は砂で身体を作り上げている。だからさっき憂ちゃんが破壊した砂のかたまりも元はこの子の身体だった」
憂「つまり……」
さわ子「この子が砂に接触している間はこの子の本体は地面を移動し続ける。攻撃しても効果がないわけじゃないわ。攻撃が当たる直前に本体が砂の中を高速で移動したのよ」
憂(本体……)
さわ子の言う『本体』が一体どういうものかはわからない。何か核のような物質があるのか。それとも、魂のような、霊的なものか。
しかしどちらにせよ、あの赤子の体に惑わされてはいけない。あれは地中を移動する砂の塊。
砂の中のどこかに潜む本体に攻撃を加えなければダメージは与えられない。
憂「くっ……」
さわ子「じゃあ、もっと激しくいくわ」
赤子は四足移動で憂に接近する。たいしたスピードではない。憂は簡単に蹴りで赤子を破壊するが、砂の塊が弾け飛んだだけだ。
憂(これじゃいくらやっても……)
さわ子「そろそろ攻撃もしようかしら」
さわ子が指を鳴らすと、憂の真下の地面から砂の塊が突き出した。硬化した砂の塊が鋭い槍となって憂を狙ったのだ。
憂は辛うじてそれをかわす。当たっていたらひとたまりもなかったかもしれない。
236Res/350.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。