47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/03/17(木) 09:45:40.21 ID:LjwDMhJOo
紬父「……斉藤は」
黄金「こいつか?」
黄金は後ろに立っていた男に目配せすると、手下らしきその男は斉藤を引きずってきた。頭から血を流している。
黄金「安心しな、気絶してるだけだ。俺の目的は――あんただけだからよ」
紬父「……なるほどな」
黄金「随分物分りが良いな」
紬父「娘には、本当に手を出さないんだな」
黄金「ああ、俺は無駄は嫌いなのさ。こんなガキ一人生きてたって世界は変わりはしねぇ。だが、あんたは違う。あんたは世界を動かせる人間だ。俺のような――変異種と、同じ」
紬父「物理的な力を持たなければ何も変えられないと考えているのか? その考え方が、いつか自分の首を絞めるぞ」
黄金「ほざいてろ。まあ、ここまでてあんたの出来の良いおつむなら気付いたとは思うが、あんたは目障りなのさ。俺みてえな、悪党が生きにくい世の中にしちまった」
黄金は一歩前に出る。正面から、紬の父とにらみ合う。
黄金「俺が望んでるのは、てめぇ見たいな良い子ちゃんが幅を利かせない世の中だ。正義、平和、平等、秩序。反吐が出る。その言葉は全て、俺のような人間を排除するために使われてきた」
紬父「やはり君は――君達は変異種か」
黄金「ああ、俺の手下はみんなそんなやつばっかりだぜ。みんな、お前が守ってるような『善人』どもに社会から追い出された、はみ出し者だ」
紬父「……」
黄金「秩序ってのぁ、都合の良い言葉だよな。『みんなと同じじゃないから』俺たちは排除された。平和を守るために、俺たちは傷つけられて生きてきた。お前が全ての人を守ると宣言した、この街でだ!」
紬父「だが、傷つけられて、傷つけていては、君は君を傷つけた者達と同じになる」
黄金「ああ、そうだ! 綺麗ごとじゃねえんだよ。俺たちには力がある。正義って力が……バケモンが俺たちを排除した。俺たちも同じだ。この社会が作った『正義』と同じ、バケモンになって、てめぇらの語る正義だとか、モラルだとか、そんなのをぶっ壊してやる」
紬父「目に見える力が何もかもを左右する時代を望んでいるのか」
黄金「その通り。正義だとか秩序なんてのは、弱いだけで群れるしかねぇ多数派を守るための仕組みだ。俺たちは奴らより少ないってだけで異質とされ、排除された。なら今度は、俺たちが群れ、それ以上の力でぶっつぶす。それが世界の正しい形のはずだぜ。今まで、正義ってバケモンで俺たちを支配してきた奴らに、それ以上のバケモンを教えてやる」
紬父「君は勘違いしているようだが……。人間は強い。目に見える力が無くても、世界を変えていける。心によってだ」
黄金「なら、なんで奴らは俺に怯え、排除した! やつらは弱いからだ、一人では何も出来ないから、だから俺一人に恐怖し、群れ、排除した! お前が、お前がこんな世界にした。こんな街にした!!」
紬父「……私はただ、力が無くても生きていける街を作りたかっただけだ」
黄金「そんなご立派な願いの影で傷ついた人間がいるとも知らずにか?」
紬父「……すまなかった」
黄金「いまさらてめぇを許すことはできねぇ。俺は正義じゃねえ、善人でもねぇ、ただの復讐者だ。てめぇに下すのは罰じゃねえ、恨みの鉄槌だ。だから謝っても、許すことはねぇ」
紬父「覚悟はできている」
紬「お父様……やめて」
紬はうずくまって母のなきがらに顔をうずめ、泣いていたが、父が死を覚悟したと知ると父の手をつかみ、すがった。
紬父「紬……。いいんだ。恐れることはない。いずれはくる別れだ」
紬「お父様……」
黄金「最期に、娘に何か言ってやりな……。そのくらいは、待ってやれる」
紬父「紬。許しなさい。この世界には許せないことはたくさんある。だけど、怒りに怒りでぶつかって、その先に立っている者は誰もいない。君は優しい子だ。君を傷つける者もきっとその優しさで包み込んで、一緒に生きていける。そしてそんな優しさが誰かに伝われば、それはいつか世界を変えることだってできる」
紬「やめて……お別れの言葉は、聴きたくないよ……」
紬父「そして、私を失っても、君を大切に思っている仲間がいる。仲間を大切にしなさい。これが私の最期の願いだ」
黄金「最期までご立派だよ、あんた。良い父親だったな」
紬父「最高の娘がいたからさ。私は、最高の父親になることができた」
黄金「はっ、かっこいいよ」
黄金の右腕が、紬の父の腹部を貫通していた。黄金は何も言わずに腕を引き抜き、きびすを返す。手下達も潔く引き下がった。
紬「お父様……お父様ぁ……! だれか、誰か来て! お父様を、お母様を助けて!!」
236Res/350.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。