過去ログ - 唯「いでおん!」
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43: ◆INjIt6nmxE[sage]
2011/03/27(日) 16:29:38.49 ID:8NE1MY6N0
「揺れが大きくなってくる……!」

ソロ・シップが重く揺すられる度に人のざわめきが起こる。

「このままじゃ、まずいかもな……」

戦闘要員ではない人ばかりが集まっているせいか、律の耳には時々悲鳴や嗚咽が転がり込んでくる。

「り、律……」

そして、それはすぐ隣りからも漏れてくる。

「大丈夫だって、澪……」

口にしてはみるが、この揺れが大きくなっていく度に死に近づいていく気がしてならない。

その中でも必死に握られた澪の手に、自らの手を重ねることで何とか平常心を保っていられる。

「くぅ……!」

このまま黙って死ぬのを待つなんて、律は考えたくなかった。

(……よし!)

こういう状況で何ができるかたかが知れているが、律は何かしら行動を起こさないと気が済まなかった。

「……澪、ちょっとここで待ってろ」

すっと立ち上がると、そのまま部屋を出ていく。

「ちょっと、どこ行くの……?」

律は何も言わず、ずんずんと進んでいく。

「ま、待って!」

慌てて律の体を捕まえて、抱きつく。

「わっ、な、何だよ」

「律……、行っちゃやだよぉ……」

「でも……、このままだと本当に死んじゃうよ。そんなの嫌だろ?」

律は震える声で澪の肩を抱き寄せた。

「……どうせ死ぬならさ、やれるだけのことをしてからのほうがいいじゃん」

「り、律……」

「せめて、大切な人ぐらい守ってさ……」

澪もただ震える律の体を抱きしめ返す。きゅっと唇を噛んで、澪は泣いていた。

「だったら、私も行く」

「澪……」

「私だって怖いけど……、律がいなくなる方がもっと怖いよ……!」

涙を拭いながら澪は力強く言った。

「……いいのか?」

律の問いかけに、澪はただ小さく頷いた。

「死ぬかもしれないんだぞ?」

「……律が守ってくれるんだろ?」

今にも崩れそうな笑顔で、澪は優しく言った。

「……そうだったな」

強く手を握り合って、2人は格納庫へ向かった。



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