過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage saga]
2011/10/04(火) 01:20:58.47 ID:VeVfGtm4o

「やっぱ、後悔してるんだな」

「……」

「眠れないのは、だから?」

 フィアンマは、投げかけられた視線には応じず、

「最近は、良く眠れることの方が珍しいさ」

 星空を見上げて答える。
 山の中だ。余計な光源が無いので、星々が夜空を塗り替えんという勢いで輝いている。
 先日見上げた星空よりも騒々しい光景。

「そもそも、敗者である貴方がこうして生きて旅してるってことが不思議なんだが」

「色々あったんだ」

「また簡単に済ませるね」

 青年は、今度はがっつりと苦笑いをする。

「それで、したかった話というのはそれだけか」

「いや、まあそれもだが――したかったのは、どっちかと言うとこっちの話だよ」

 両の腕を広げ肘は手すりに預け、十字架に磔にされたかのような体勢で青年は視線を落とす。
 目を軽く閉じて、ゆっくり口を開いた。

「『黎明の薄明かり』って魔術結社の話」

「お前らの結社の話か」

「半分正解、半分間違いってところかな。『薄明かり』じゃなくて『黎明の薄明かり』」

 怪訝な顔をするフィアンマに軽く笑って、青年は物語りを読むようにして話し始める。
 もう彼以外には誰も覚えていない、語り継ぐ価値もないような昔話を。



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