過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
1- 20
339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/15(金) 23:33:57.56 ID:CypdjJ6do



「そちらから出向いてもらえるとは有り難いな。しかも一人とは、亡命でもご希望か?」

「いいや。俺はこれまでもこれからも"薄明かり"の一員だよ」

 そして彼らは対峙する。
 少年の背後には、既に戦闘準備を済ませた彼の部下達が控えている。
 一方で青年は仲間を連れておらず、見たところ武器も持っていない。

「こちらの用件は分かっているな」

「この地を出て行け、だろう? なんとも好き勝手おっしゃることで」

「好き勝手にしていたのはどちらだ」

「いた、ならこちらだな。いる、ならどちらもだろう」

「我々は貴様達とは違う」

「そうだな。確かに明確に違うけど、それでも結局は似たようなものじゃないか」

 青年の雰囲気は一見すれば軽薄、しかしその実は軽快に近いのかもしれない。
 それだけ自然にこの地に馴染み、その言葉に馴染んでいるということなのだろう。

「大した価値の無い宝物を必死になって奪い合ってる時点で、疑うまでもなくそうだろ」

「……」

「お互い、賢くは生きられない性分だな。だからといって譲るつもりは無いけど」

 少年は瞼を下ろす。
 分かっている。彼が今倒そうとしているのは悪人ではない。
 むしろ彼が言うとおり、自分達と――自分と、同じようなことを考えて生きる人間だ。
 彼は正しくあろうとするが故に青年らと敵対する。
 しかし、それは必ずしも敵対者が悪であるという結論には結びつかない。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
414Res/270.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice