過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/15(金) 23:38:07.76 ID:CypdjJ6do

「……ゴーレムか」

「よく分かったな、こんなので」

 それは腕だった。
 人間のそれとは比べ物にならない大きさの豪腕。一薙ぎで木々を叩き折り、人体を飛沫に出来る凶手。
 少年の槌は人を数人纏めて叩き潰せるような凶悪なものだが、その腕は槌を十ほど束ねたような大きさだ。

「腕しか出ないのか」

「本当は全身出すつもりだったんだけど、ダムの件で式が崩れてるんだよ」

「なるほど。それは幸運だ」

「ま、それはそれとして調整し直してあるけどな。当然元々の性能には及ばないけど」

 部下を伴わないのは方々に散って式を整えている為だろう。
 どう考えても万全からは程遠い有様。それは元々薄かった勝算が更に薄くなったことを意味する。
 それでも青年は笑う。溜め息を伴うそれは、しかしどこか全て許容するかのような空気があった。

「まったく良い迷惑だよ。お前らも、向こうさんもな」

 どんな困難も障害も無意味だと言わんばかりに、青年は深く深く笑みを作る。
 少年にはその気持ちが分かる。きっと彼自身の次程度には理解できる。
 それでも。

「仕切りなおしだ。始めよう」

「ああ、不意打ちで勝負に出なかったことを後悔するといい」

「ほざけ」




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