過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]
2012/06/15(金) 23:38:07.76 ID:CypdjJ6do
「……ゴーレムか」
「よく分かったな、こんなので」
それは腕だった。
人間のそれとは比べ物にならない大きさの豪腕。一薙ぎで木々を叩き折り、人体を飛沫に出来る凶手。
少年の槌は人を数人纏めて叩き潰せるような凶悪なものだが、その腕は槌を十ほど束ねたような大きさだ。
「腕しか出ないのか」
「本当は全身出すつもりだったんだけど、ダムの件で式が崩れてるんだよ」
「なるほど。それは幸運だ」
「ま、それはそれとして調整し直してあるけどな。当然元々の性能には及ばないけど」
部下を伴わないのは方々に散って式を整えている為だろう。
どう考えても万全からは程遠い有様。それは元々薄かった勝算が更に薄くなったことを意味する。
それでも青年は笑う。溜め息を伴うそれは、しかしどこか全て許容するかのような空気があった。
「まったく良い迷惑だよ。お前らも、向こうさんもな」
どんな困難も障害も無意味だと言わんばかりに、青年は深く深く笑みを作る。
少年にはその気持ちが分かる。きっと彼自身の次程度には理解できる。
それでも。
「仕切りなおしだ。始めよう」
「ああ、不意打ちで勝負に出なかったことを後悔するといい」
「ほざけ」
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