過去ログ - 美琴「私が一万人以上殺した、殺人者でも?」
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412:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/01(日) 01:03:16.31 ID:j3QG2qEvo
                   パーソナル・リアリティ
(精神が不安定になって……”自分だけの現実”が、揺らいでいる、とか?)

 思えば、あの操車場で気を失ってからの記憶は無く、気が付けば見知らぬ土地の見知らぬ街角に放り出されていた。
 焦って辺りを窺い、そこが学園都市でも、日本でさえも無く、遥か海外のイギリス、ロンドンである事が分かった時は、流石に言い知れぬ不安を覚えた。

 そんな見知らぬ街をふらふら歩いていたら、見知った顔を見かけた。その顔が自分と瓜二つのものだったので、大きな疑念が生まれたものの、一番に感じたのは安堵だった。
 駆け寄ろうとしたら警告の声を発せられ、息を呑んだ。彼女――妹達が私に向けた目は、あからさまな、警戒色。

 どうして、私よ。分からないの? と半ば悲鳴のように叫ぶと、妹達は顔をしかめ、再び警告を発してきた。ワケが分からず一歩を踏み出すと、足元に銃弾が突き刺さる。
 突き刺さった銃弾は自分の電磁波の干渉を受け付けない、ゴムを主成分とした特殊弾だった。その事が、更に混乱を加速する。
 始めから、私に対抗する為の装備を備えている。つまり――
 その事を、その現実を認めるのが怖かった。

 だから、逃げ出した。

 その事が、今の今まで、心にしこりとして残っている。

 しかし、それからは必死だった。
 妹達の私を追う手は執拗で、こちらの思惑を上回るような装備や戦略を駆使して、私は追い詰められる一方だった。
 それでも、この命を投げ出してまで救いたかった命だった。傷付けるなんて始めから選択肢になかった。
 だから、いくら追い詰められても、その銃弾がこの身に突き刺さろうとも、彼女達を傷つける事はできなかった。

 辛うじて妹達の追撃を逃れた後、精根尽き果てた私は、気が付けば移動中に気を失っていた。
 そして、気が付けば見知らぬ少年の部屋のベランダに引っ掛かっていたのだ。

(そういえば、ロンドンで気が付いた時、何か荷物を持ってた気がしたけど……)

 ありふれた肩掛けのバッグのような物だった気がする。そこそこの重量があった筈だが、逃走の際、肩紐が千切れとんだので、邪魔になって打ち捨ててきた。
 ひょっとしたらアレの中に何か現状に対するヒントがあったのかもと思うと、何故最初に中身を確認しなかったのかと思う。が、今となっては詮無きことだ。


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