過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
1- 20
269: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/04/03(日) 18:01:21.01 ID:qUKwgnJSo

「オマエ ニッポンジンアルカ? ドコマデイクアルネ?」
「ですから、この住所の所へ行きたいんす」

運転手さんは俺が渡したメモを見てニヤリと笑い、親指を突き立てると大声で快諾してくれた。
後ろのトランクを開けてもらいスーツケースなどの荷物を入れると、俺は再びリアシートに座った。

「モンダイナイアルヨ。ソレジャ ワタシ イクヨ オマエ シッカリツカマッテルヨロシ」

車中で聞いたところ運転手さんは中国系アメリカ人で、タクシーの運転手は副業に過ぎず、
本業は地元ロサンゼルスの大学で日本文学を教える、れっきとした講師だそうだ。
学生時代には日本にも短期留学していたから、日本語には自信があるって言うんだが……

「オマエ アメリカ ナニシニキタ?」
「妹に会いに来たんす。こっちへはスポーツ留学しているモンで」
「イモウト カワイイアルカ? モウヤッタカ?」
「いや、これから会うつもりなんで……ほんと、妹に会うの久しぶりなんすよ」
「オマエ イモウトトヤルノ ヒサシブリカ? ガンバルヨロシ」

妹属性らしき運転手さんとの会話はイマイチ噛み合わなかったし、内容がそっち方面ばっかだから
俺の心は何度も折れそうになったが、人の良さそうな運転手さんで、俺は正直内心ほっとしていた。
それにしてもこの運転手、じゃなくて講師が教える日本文学って、一体どういう内容なんだよ。
源氏物語とかはその手の話が多いんだろうけどさぁ、この講師から講義を受ける学生のことを思うと、
俺は学生に同情せずにはいられなかった。

「オマエ ヒカルゲンジ シッテルカ?」
「ああ、やっぱそうすか」

タクシーは空港を離れると、程なくして高速道路へと進入して行った。
巨大な高層ビル群が林立するロサンゼルスの街を、タクシーは猛スピードで駆け抜けて行く。
俺は車窓を流れる風景に目を奪われながら、親父が娘の桐乃のことをどれ程心配していたのか、
そしてどれ程可愛がっていたのか改めて思い知らされた。
本当は親父自身が来たかったろうに、そう思うと、街の景色が滲んで見えた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/717.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice