過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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◆Neko./AmS6
[sage saga]
2011/03/27(日) 16:39:21.52 ID:4SRjOM3Xo
桐乃のことを異性として意識し始めたのは、俺が中学生になったばかりの頃だ。
クラスにも可愛い子や、中学生にしては美人な子も中にはいることはいた。
しかし、当時の俺にとって、妹の桐乃ほど心がときめくヤツはいなかった。
それまで兄貴が実の妹に恋するなんて、エロ小説かエロ漫画の世界だけだと思っていたから、
まさか、この俺がそうなるとは夢にも思わなくて、マジでその当時は悩んだもんさ。
“兄妹愛”なんて陳腐な言葉じゃ説明しきれねえし、そもそも“兄妹愛”って何だよって、
悩めば悩むほどドツボに嵌まる思いだった。
妹を好きになっちまった罪悪感と、俺自身に対する嫌悪感に苛まれる日々が続いた。
そんな苦しみから逃れるために俺が出した結論は、桐乃を“無視”することだった。
徹底的に無視することによって、俺の心の中から桐乃を追い払う。
それまで仲の良かった俺たち兄妹の間に溝が出来始めたのも、思い起こせばその頃だ。
桐乃も当初は急に冷たくなった俺に戸惑い、時には泣いて抗議したこともあったけどな。
しばらくする内にあいつも諦めたのか、俺に話し掛けて来ることもなくなった。
俺たちは同じ家で暮らし、同じ食卓に着きながらも、お互いいないものとして振舞った。
会話を交わすことなんて滅多になく、すればしたで桐乃は俺に必ず悪態を吐いた。
当然と言えば当然だよな。桐乃は何で自分が兄貴から無視されてんだか知らねえんだから。
そんな日常を何年も重ねる内に、俺自身なぜ桐乃を無視するようになったかさえ忘れちまった。
俺と桐乃の修復不能とも思えた冷え切った関係に、変化の切っ掛けを作ってくれたのが、
玄関先に落ちていた、たった一枚のDVDケース。
それが、俺と桐乃の錆び付いた歯車を再び噛み合わせ、最初はぎこちなくともゆっくりと、
そして日を追うごとに急速に回し始めた。
俺たちの間の溝を埋めるように。そして、失った時間を取り戻すように。
失った時間は大きかったが、決して無駄じゃなかった。
その間に俺は精神的にも成長し、桐乃を本来の妹として見ることが出来るようになった。
俺にとって、妹に恋したことは疚しいことでも恥ずかしいことでもない。
初めて恋をした女の子が、たまたま妹だったというだけだ。
それに、何といっても妹の親友のあやせに出会えたじゃねえか。
今、隣りで黙って俺の話を聞いてくれている、あやせに。
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