過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga]
2011/03/27(日) 22:06:31.67 ID:VzcOF4WKo
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「惜しかったですね」

決勝大会が終わり、俺と加奈子は駅に向かって歩いていた。
時刻は夜の7:00。街灯やビルの明かりが、闇夜に抗い、街を照らしている。
素晴らしいパフォーマンスをした加奈子だったが、残念ながら優勝は逃してしまった。優勝したのは、どこの事務所にも所属していないアマチュアの女の子だった。
彼女の歌は、他の参加者と比べても頭ひとつ抜けており、アピールタイムで見せた新体操の技も圧巻だった。
でもさ、俺は加奈子の方が劣っていたとは思ってないぜ。加奈子は凄かった。ただ、今回はあのアマチュアの娘の方が審査員の心を掴んだ。それだけだと思う。
優勝は逃したものの、加奈子は審査員特別賞を受賞した。加奈子のパフォーマンスは、俺以外の心にも響いたということだ。

「そうですね。でも、こんなことで諦めません。また挑戦します」
「その意気ですよ。来栖さんなら大丈夫です」

加奈子も、優勝できなかったことは悔しかっただろうが、表情は晴れやかだった。すでに次の機会を見据えている。
目算は外れたが、この調子なら、加奈子自身が注目される日もそう遠くないだろう。今はそれで満足だ。
さて、次はどうしようか。そんなことを考えていると、胸ポケットに入っているケータイが震えた。表示されているナンバーは、事務所の電話番号だ。

「はい、高坂です。はい。はい。え、本当ですか!?はい、はい!本人も隣にいます!はい、ちゃんと伝えておきます!ありがとうございます!」

通話を終え、ケータイをポケットに仕舞い、隣にいる加奈子に向き直った。
何があったのか把握出来ていない加奈子は、不思議そうな顔で俺を見上げていた。

「来栖さん、喜んでください。今日、審査員の一人だった方から連絡があって……」
「は、はあ?」
「来栖さんさえ良ければ、プロデュースさせてほしいとの事です!」
「え!?」

流石の加奈子も、これには驚いたらしい。
俺がガッツポーズ全開で喜んでいる間、呆然と突っ立ってたからな。周囲の歩行者から奇異の視線を送られたが、構うもんか。
だってよ!俺は今、最高に「ハイ!」ってやつだァァァァからなッ!!

「あの……本当ですか?」
「はいっ!詳しい話は、後日事務所で行うようです。もちろん、来栖さんにも同席してもらいますから!」

俺がガキみたいに喜んでいる中、加奈子はうなだれ、静かに涙を流した。


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