過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga]
2011/03/27(日) 22:07:11.89 ID:VzcOF4WKo
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あれから一ヶ月が経った。
事務所に連絡してきたのは、大手レコード会社に勤めるA&R(アーティスト・アンド・レパートリー)担当の男性だ。
その方の話では、いきなりCDデビューというわけではなく、まずは一曲だけ着うたなどでネット配信し、そこで好評を得れば正式に契約、ということだった。
利益を生み出さなければならない立場にいる人なので、これは仕方ないと思った。だが、チャンスをもらえたことは事実である。
次へと繋げるためには、俺や、宣伝・広報の人間が尽力しなければならない。これについては、望むところだと言わせてもらおう。
そして今日は、レコーディング初日だ。
予定通りにいけば、三週間後には加奈子の歌が配信される。少々密なスケジュールだが、加奈子から文句は出てこなかった。


本日のレコーディングは無事終了、時刻は夜の8:30。
スタジオを後にした俺たちは、車で事務所に戻っていた。時間も時間なので、残っている人間は数えるほどしかいない。

「今日はお疲れ様でした」
「はい、お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」

明日も午後からレコーディングだ。明日の予定を確認し終え、これで本当に本日の業務は終了である。
帰り支度をしている加奈子に、俺は包みを持って近付く。

「来栖さん」
「はい?」

ショルダーバッグを担いだ状態で、加奈子は俺に向き直った。
その加奈子に、俺は手に持った小さな包みを差し出す。俺の行動の意味がわかってないのだろう。加奈子は小首をかしげている。

「遅くなりましたが、アーティスト・来栖加奈子誕生のお祝いです。受け取ってください」
「え?あ、あの……」
「受け取ってもらえないと、俺が困るんですが……」
「す、すみません。ありがとうございます」

加奈子は戸惑いながらも、俺からのプレゼントを受け取った。
しばらく包みを見ていたが、そのあと上目遣いで俺を見つめてくる。「開けてもいいですか?」と目で訴えていた。
俺は笑顔で頷く。それを見た加奈子は、綺麗に包装を剥がし始めた。黒色の細長いケースの蓋を開ける。

「綺麗……。ブレスレット、ですか?」
「ええ。お気に召すかどうかはわからないですけど」

俺がプレゼントしたのは、とあるブランドのプラチナブレスレットだ。二連チェーンのシンプルなもので、加奈子ぐらいの年齢の娘じゃ、少し物足りないかもしれない。
けど、加奈子に似合うと思うんだよな。派手じゃないけどエレガントさがあるし、こういうのも良いと思うんだ。
結構なお値段だったが、今回はお祝いだ。小さいことは言わないでおこう。
加奈子は早速ブレスレットを手首に巻き、色んな角度からそれを眺めている。

「似合ってますよ」
「そ、そうですか?私には少し、大人っぽ過ぎるんじゃないかなぁ」
「そんなことないですよ。普段の来栖さんに比べると少しクールに見えますけど、俺は良いと思います」
「あ、ありがとうございます。……その、大切にしますね」

うしっ!気に入ってもらえたようで何よりだ。俺のセンスも、この業界に入ったことで少しは磨かれたのかも知れんな。
さて、帰るか。俺が自分の鞄を手に持つと、目の前に細長い包みがあった。


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