過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
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894: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:34:09.65 ID:fK0gY2ago

いつもより早めに会社に出勤すると、俺は早速社長に呼ばれた。
あやせのお袋さんが手を回したらしく、今回の一件は既に社長の耳にも入っていた。
俺は当然クビになるもんだと覚悟を決めていたが、社長は笑って不問に付してくれた。
会社に迷惑を掛けたならともかく、家庭の事情で社員をクビにしていたら、
零細企業なんか簡単に潰れちまうんだとさ。
それに、俺は唯一の総合職だし、今じゃ取引先からもご指名を頂戴するほどだ。
この会社の将来は、俺の双肩に掛かっているようなもんなんだと。

ざまあみやがれってんだよクソババア。
旦那が議員だか何だか知らねえが、てめえは只のクソババアじゃねえか。
あやせを産んでくれたことに感謝しちゃあいるけど、それ以外はクソババアなんだよ。
通販で化粧品を買い漁りやがって、その金だって元はと言えば市民の税金じゃねえか。
旦那は私利私欲もなく、地元のために尽くしているっていうのによ。
なーんてな。……それにしても、クビにならなくて本当に良かったよ。

だが、俺もこのままじゃいけないことくらい分かってはいる。
感情に任せて嫁さんの家を飛び出しちまうなんて、男のやることじゃねえよな。
あやせのことは今も愛しているし、俺がお義母さんの言いつけに従ってさえいれば……。
情けなくて涙が出るよ。こんな筈じゃあなかったのにってな。


午前中の得意先回りを済ませて公園のベンチでアンパンをかじっていると、
俺の携帯の着メロが鳴った。着メロからあやせだってすぐに分かったよ。
たった一日声を聞いていないだけなのに、その声には妙な懐かしさがあった。
しかし、あやせの声にどこか切羽詰っているような重苦しい雰囲気を感じ取って、
何となくいやな予感がしたんだ。

『お兄さんですか? あやせです……』
「……昨日は、すまねえことしちまったな。
 おまえに何も言わずに家を飛び出すなんて、俺らしくもねえよな」
『いいえ、そのことはいいんです。
 あの……今日会社が終わったら、家に来るようにと……母が申しています』
「………………分かった。今日は定時で上がれると思うから、まっすぐに行くよ」

俺はあやせとの電話を切ってから、牛乳と一緒にアンパンを飲み込んだ。
あのクソババアが今更俺に用なんて、大体想像がつくけどな。
その日は仕事を定時で切り上げ、憂鬱な気分であやせの家へと向かった。


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