178:伊吹 ◆fJ3KTPFnIUC/[saga]
2012/05/02(水) 23:51:13.26 ID:6CiGo+lAO
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当てもなく街を歩いていても、それが徒労に終わるというのは予想に難くない。
その例に漏れず、彼女も空かされた肩を持て余していた。
亜弥「あやーん……手がかりがないよぅー……」
丁度あった街路のベンチに深く腰掛けて、小さいが長い溜め息を溢す。
そよ風が、彼女を慰めるように傍をすり抜けていった。
と、そこに呼びかける声が一つ。
佐天「お、亜弥さんじゃないですか」
亜弥「佐天ちゃん?」
俯いて鬱向く頭を上げると、そこには長い黒髪を靡かせる少女が、腰を下ろしてこちらを心配そうに覗き込んでいた。
佐天「どうしたんですか? 何だか元気がないみたいですよ」
亜弥「手がかりが見つからないよー……」
佐天「手がかり……って、まさか今日ずっと?」
亜弥「ううん」
一部始終を話すと佐天は苦笑いで、
佐天「あはは……お疲れ様です」
とだけ言う。
くそう。すっごく大変だったんだぞ。
佐天「でも、そうまでしなくても……その内警備員が犯人を捕まえてくれますよ」
それは確かに明確で的確な一般論。
しかし、だからこそ、亜弥は首を横に振った。
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