14:>>1[saga]
2011/03/28(月) 21:43:35.91 ID:gJVBoKdj0
放課後。
例によって二人が不在の状態で部活が始まった。同じクラスなので冬森さんとは一緒に部室に向かったのだが、廊下で会話は一切無し。
事務的な雰囲気で二人並んで歩いてきたわけだ。そのせいか、通りがかりの誰もが怪訝そうな顔をしなかった。
そりゃ、二人して無表情で歩いていれば他意はないのが丸解りというものだろう。
さて、めでたく本格的な活動となるわけだが、僕はやや手持ち無沙汰であった。
考えてみれば、お話を考えるところから始めているので僕の出る幕は今のところない。
それでもなんとなくここまで着てしまったので帰るのもばつが悪いし、付き合うことにする。
それでも、話題がなんとなくあった昨日と比べて今日は絶望的だ。胃に悪い。
それに、冬森さんはペンを片手にノートに向かって何か書き込んでいる。
恐らくはお話を作る際の設計図的な存在である‘プロット’を考えている最中なのだろう。
そうなると、迂闊に話しかけていいものか疑問だ。でも、対話せねば関係も発展しない。
とりあえず、僕も作業の片手間に話しかけている、という自然なシチュエーションを作り上げるためにスケッチブックと、鉛筆を取り出した。
どうせ暇なんだから何かスケッチをしていよう。それなら話しながらでもできるし、我ながら名案だ。
「冬森さんは」
話しかけたところで彼女の肩が揺れた。というより、引いた。結構ショックを受ける。受けたついでにスケッチの目標を彼女に決めた。
斜め後ろのアングルから彼女をスケッチすることにする。少しは女の子耐性がつくかもしれない。前向きに考えよう。
彼女の応答がないので、僕は言葉を続けることにする。
「物理の小テスト、どうだった?」
「わ、悪くなかったですよ」
声が震えている。いや、僕のこの問いかけも若干震えているかもしれない。
昨日はやはり、お互いに頑張ろうと無理矢理に明るく振舞って話が弾んでいたように見せかけていただけだろう。うん。やっぱり似たもの同士。
周囲の評価は概ね正しかったらしい。
「点数を聞いても?」
「8点でした」
「同点か。今回の、なかなかに難しかったよね」
「はいー。春野さんも7点ですから。春野さんに物理で勝ったの、久しぶりなんですよ」
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